着物の価値を左右する6つの要素。高額買取を成功させる方法
着物は日本の伝統的な衣装です。平安時代から受け継がれ、日本の文化を現代に伝える貴重な資産です。しかし、日々着用している洋服とは着方やお手入れ方法が違うため、普段着として着用している方は少ないのではないでしょうか。
親類から譲り受けた着物など着用する機会が得られず箪笥に保管し続けている方や、処分するかどうか悩んでいるという方がいらっしゃるかもしれません。着物の価値が分かれば、そのまま持ち続けるか処分するか決めやすいですね。
この記事では、着物の価値を知りたい方に、着物の価値を左右する6つの要素をご紹介します。加えて売却を検討している場合はできるだけ高額で買い取ってもらうためのポイントもあわせて確認していきましょう。
着物とは?歴史と種類
着物は日本の伝統衣装であり、時代とともにさまざまに変化してきました。どのような変遷をたどり現代に至ったのでしょうか。
着物の歴史
着物は平安時代に始まり、明治時代に西洋から洋服文化が取り入れられるまで着用されていました。最も華やかで複雑だったのは平安期の貴族のもの。そこから庶民が着用しやすい素材や形に少しずつ変化しながら、江戸時代には私達がイメージする一般的な着物の形に確立されました。
平安時代の貴族のような華やかな着物も無くなってしまったわけではありません。現在では主に皇室や京都の伝統行事の中で使用されています。
普段着として洋服を着用するようになった現代では、着物は成人式や結婚式など、特別なハレの日のための衣装となっています。しかし最近では、インターネットの影響もあって若い人を中心に再び着物に関心が集まっています。これからも未来へと日本の伝統美が受け継がれていくことでしょう。
着物の種類
着物と一言でいっても、形や着用シーンによってさまざまな種類に分けられます。具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
浴衣
浴衣とは、夏によく見られるカジュアルな着物です。もともとは「湯帷子(ゆかたびら)」といい、平安時代に貴族が風呂に入るときに着用していたものが原型とされています。
振袖
振袖とは、袖を長くして仕立てた着物です。大人の未婚女性の第一礼装であり、現在では成人式や結婚式の披露宴などのハレの場で着用されています。
訪問着
訪問着とは、カジュアルな場からフォーマルな場、年齢や結婚の有無に関わらず幅広く着用できる着物です。肩から胸・袖にかけて模様が美しく繋がっている「絵羽模様」が特徴です。
黒留袖
留袖とは、振袖の袖を短くして留めた着物のこと。結婚式のような格式高い場で既婚女性が着用する着物であり、黒一色のものを黒留袖といいます。
小紋
小紋とは、「型染め」と呼ばれる技法を使い同じ模様が繰り返し入っている着物のこと。色や柄の種類が豊富で、日常着としておしゃれを楽しむことができます。
紬
紬とは、先染めの絹糸などで作られた着物のこと。非常に丈夫であることから日常着として使われてきました。現代でも略礼装としておしゃれ着や普段着として愛されています。
色留袖
色留袖とは、裾の部分に縫い目をまたいで模様が描かれている留袖のこと。立って初めて裾の美しい模様が見えるという、華やかで格式高い着物です。
付け下げ
付け下げとは、年齢問わず幅広いシーンで着られるオールマイティな着物です。訪問着と同じような場で着用されますが、反物の状態で染色・販売されています。
色無地
色無地とは、黒以外の一色で染めた着物のこと。生地自体に凹凸の地紋があるものはフォーマルな場で、地紋がないものはカジュアルな場で着用されます。
喪服
喪服とは、葬儀や告別式の際に遺族である喪主・家族・親族が着用する紋の入った和装です。一般的には着物・帯・小物いずれも黒を合わせて追悼の意を表現します。
着物の価値はどう決まる?価値を左右する6つの要素
着物は数百万円するものから数万円で買えるものまでさまざまです。どのように着物の価値は決められているのでしょうか。着物の価値を左右する代表的な6つの要素をご紹介します。
1.生地の種類と品質
生地の種類と品質
着物の価値を左右する大きなポイントの1つは、生地の種類です。着物の生地には絹・木綿・麻・羊毛・ポリエステル・ウールなど、さまざまな種類の糸が使われており、素材と品質によって価値が変わります。中でも絹で作られた着物は高く取引されています。
生地が着物の価値に影響するのはなぜ?
生地が着物の価値に影響する理由は、生地によって生産数が変わってくること、生地そのものの価値が高いことが理由です。庶民が着物を普段着とするようになったのは江戸時代に入ってから。麻・木綿の着物が作られるようになり、安価で丈夫だったため庶民にも手が届きやすかったのです。近代では、ウール・ポリエステルなどの素材で作られるようになり、大量生産が可能となりました。
2.着物を作成するのにかかった手間
着物の生地は、何本もの糸を複雑に織り合わせて作られた布を何枚も重ね合わせて作られます。現在では機械で作ることができるようになり大量生産も可能となりました。一方で高級着物は職人が手間をかけて手織りや手作業で複雑な技法を駆使しながら制作しています。作る工程が複雑で手間がかかっているものほど高く評価されるのです。
3. 人気のある絵柄(代表作)か?
着物の代表的な作家
▲久保田一竹
「辻が花染め」を復刻させた着物作家。20~40万円が平均的な買取価格です。代表作は3億円の値がついたものも。
▲由水十久
加賀友禅の代表的な作家です。買取価格は15万円前後とされていますが、中には数百万円~1000万円以上で評価されたものもあります。
▲木村雨山
人間国宝に指定されている着物作家です。20万円前後が平均買取価格です。
作家ものであるかどうかが価値に影響を与える理由
作家ものは着物作家の磨き上げられた技術とセンスを用いて作られています。手間ひまをかけ、1つ1つ作るので大量生産をすることはできません。そのため希少であり高く評価されます。
4.証紙の有無
証紙とは?
証紙とは、その着物が「本物であるかどうか」を証明するものです。大島紬や京友禅などの有名産地や国が指定する伝統工芸品の着物には、組合が発行する証紙が附属しています。生地の端切れなどに着物の産地・織元・伝統工芸品マークが貼り付けられており、作家着物には落款が記されているものも。
証紙の有無が着物の価値を左右する
証紙は組合が本物として品質を認めていることが一目で分かるため、高く査定される傾向にあります。お持ちの着物に証紙が付いている場合は大切に保管しておきましょう。
5.着物の保存状態や使用・未使用で査定額が異なる
着物は劣化する
着物は少しずつ劣化するため、購入から10年以上経過していると価値が大きく下がってしまいます。着用するとどうしても衿や袖・裾の周りなどにシミやカビなどの汚れが付着してしまうのです。さらに保存や収納状態が悪いと劣化を早めてしまうので、正しいお手入れが肝心です。
保管・収納方法
着物は、日頃から保管場所や収納方法に気を付けておくことが大切です。風通しが良い場所で、たとう紙に包みきちんと畳んで保管しておくことで、劣化を予防することができます。
下記の記事では着物の収納方法を詳しくご紹介しています。
関連記事:着物の収納方法を解説!大切な着物をより美しく長持ちさせるために
6.信頼できる買取業者に査定を依頼する
着物の価値は、着物自体の状態はもちろんのこと、需要によっても市場価格が変わります。価値を正しく判断することは一般の方には難しいので、着物に詳しくない買取業者の場合は安く買い取られてしまうことも。着物の価値を正しく理解している鑑定士が在籍する買取業者であれば、市場価格も踏まえて適正価格で査定してくれます。
着物の買取店を選ぶ際のポイントは?
着物の売却をする際は、正しく査定をしてくれる買取店に安心して任せたいものです。なるべく高く買い取ってもらうために、買取店を選ぶポイントをご紹介します。
着物の買取店を選ぶポイント
着物の買取実績が豊富
買取実績が豊富な業者は審美眼が養われており、着物の状態や素材、需要などから多角的に価値を判断してくれます。また高く売却できるルートも持っているため、通常よりも査定額が上がる可能性もあります。
着物に詳しい鑑定士が所属している
着物は品物によって大きく価値が異なるため、一般の方が価値を見定めるのは難しいものです。鑑定士に知識がなければ相場よりも低価格で査定されてしまうことも。知識と経験が豊富な専門の鑑定士が在籍しているかどうか確認しましょう。
メディア露出がある業者
メディアに露出経験がある店舗は、豊富な知識と経験を持つスタッフがいることが保証されているといえます。
アフターフォローがしっかりしている
大切な着物ですから、売却後に後悔することがあるかもしれません。クーリングオフ制度を利用できるなど、アフターフォローがしっかりしている業者だと最初から分かっていれば安心してお願いすることができます。
担当者の対応が丁寧
担当者の対応が丁寧な会社は、感じよく疑問点も気軽に確認しやすいためおすすめです。問い合わせをする際は、きめ細かいサービスが行き届いているか、品物を丁寧に扱ってくれるかどうかも確認しながら判断しましょう。
買取店に依頼する際のポイント
証紙を一緒に提出
証紙があれば、着物の素材や産地・作家物であることが証明されます。買取価格は高くなる傾向にあるため、証紙がある場合は忘れずに一緒に提出しましょう。
着物関連の小物と一緒に売る
着物を着用する際はたくさんの小物が必要になります。帯・帯留め・長襦袢・草履・バッグなど、着物に合わせる小物をお持ちの場合、一緒に査定してもらうと単品よりも高く査定される可能性があります。
事前に手入れを行う
美しい状態のほうが印象がよくなるため、できるだけ事前にお手入れしておくとよいでしょう。ただしご自宅で手入れを行うと着物を痛めてしまう可能性もあるため、無理せず行いましょう。クリーニング代を上回るような買取が期待できるような高額な着物であれば、事前にクリーニングに出すのもおすすめです。
着物買取
まとめ
着物は今に伝わる大切な日本文化の1つ。時間をかけて丁寧に作られた着物は、高い価格で取引されています。しかし、着物は高ければ良いというわけではありません。思い入れのある、気に入っている着物を大切に使用することで、心を豊かにしてくれることでしょう。
価値が分からない着物をお持ちの方や処分を考えている方は、古美術八光堂で一度査定してみてはいかがでしょうか。専門知識と経験豊富なスタッフが丁寧に鑑定いたします。古いものや汚れがあるものでも高値で取引されているものもあります。ぜひお気軽にご相談ください。
着物買取