着物をきれいに片付ける方法は?畳み方・お手入れ・収納方法を詳しく解説!
着物は日本の伝統的衣装です。四季に合わせた素材や色・柄が使われており、フォーマルシーンからカジュアルシーンまで場を華やかにしてくれます。着物は洋服とは違った独自のお手入れが必要です。お手入れ方法がわからないため、いつか着たいと思いながらも、なかなかその機会が得られないという方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、着物の畳み方・お手入れ・収納をといった扱い方を網羅してご紹介します。なぜそのように扱う必要があるのかという理由もあわせて解説していくので、着物についての理解が深まることでしょう。不要な着物がある方のために、おすすめの処分方法も記載しています。
着物は片付け方が悪いと劣化する?
着物は少しずつ劣化するため、10年以上経つと価値が大きく下がってしまいます。着物は何故劣化してしまうのでしょうか。
着物が劣化する5つの要素
1.皮脂などの汚れ
着物の衿や袖などの肌が触れる部分には、皮脂などのタンパク質汚れが付着しています。そのまま保管していると、シミやカビ・虫の発生などにつながってしまいます。
2.接着剤から生じるガス
着物と一緒に保管することが多い帯板やゴム製品などの中には、接着剤を使用しているものがあります。接着剤からガスが発生し、着物にダメージを与えてしまうことも。
3.湿気
着物は洋服に比べて湿気を含みやすい性質があります。そのため湿度が高い場所に収納しているとカビの原因となってしまいます。梅雨や夏はもちろん、暖房器具を使う季節も注意が必要です。
4.紫外線
着物は紫外線を浴びると変色しやすくなるので直射日光が当たる場所での保管は厳禁。電球の灯りも紫外線を含んでいるため、保管時はたとう紙に包み風呂敷をかけるなど光が当たらないようにしましょう。
5.虫
着物の素材によっては虫が発生してしまうことも。特にウールは虫が好む素材です。ウール着物と一緒に他の素材の着物を保管していると、ウールに集まった虫が他の着物にも影響を与えてしまうことがあります。
片付け方が悪いと劣化が進む
着用した着物は意外と汚れているものです。汗や皮脂はもちろん、泥・ほこり・食べこぼしなどがついていることも。汚れをそのままにして収納してしまうと、上に記載した5つの要素の影響を受けて着物の劣化につながってしまうので、着用後はしっかりと確認をしましょう。さらに正しく収納・保管しておくことで、着物を美しく長持ちさせることができます。
着物を劣化させない片付け方①脱ぎ方・畳み方
着物を劣化させないためには、どのように片付ければ良いのでしょうか。普段から正しい脱ぎ方・畳み方に気を付けることが肝心です。
着物と帯の脱ぎ方は?
着物の脱ぎ方
まずは手を洗い、脱いだ着物を広げられるような場所を確保しましょう。帯・着物・長襦袢・下着の順番で脱いでいきます。
帯の外し方
お太鼓結びの場合は帯締め・帯揚げ・帯枕の順で結び目を解きます。振袖など豪華で複雑に結んでいる帯は家族に手伝ってもらうとスムーズに帯を外すことができます。一人で外す場合は、帯の結び目を体の前側に回して帯揚げから順番に解いていきます。
着用後のチェックポイント
着物の汚れをチェック
着物を広げ、全体的に汚れがないかどうか確認しましょう。特に胸元、袖振り、裾は汚れがつきやすいところなので念入りにチェックします。
着物をハンガーにかける
脱いだ着物はハンガーにかけて一晩陰干しを行います。
着物を畳む
汚れを落とし陰干しを行った後は、正しい方法で着物を畳んで収納しましょう。
汚れのお手入れ
着物に汚れがついてしまっている場合は、汚れの種類によってお手入れ方法が変わります。
油性汚れの場合
化粧品・ボールペン・皮脂など油性の汚れの場合はベンジンを使用してきれいにします。まずは着物の下に白いタオルを敷きます。次にガーゼにベンジンを含ませ、軽く叩いて汚れを落としていきます。一度で一気に落とそうとせず、タオルに汚れを移すイメージで行うのがポイント。タオルの汚れた位置を変えながら何度かトントンと繰り返します。
水性汚れの場合
コーヒー・お茶・醤油など、水性の汚れの場合は水性洗剤を水で薄めて使用します。油性汚れと同じ方法で何度か繰り返して汚れを落としていきます。最後は水だけを含ませたガーゼで軽く叩き洗剤を落としましょう。
陰干し
汚れをきれいにした後は、ハンガーにかけて陰干しを行います。半日から1日程度日光の当たらないところに干して汗や湿気を飛ばします。ただし1日以上ハンガーにかけたままにしておくと、生地が崩れてしまったりシワが出来てしまったりすることがあるので注意が必要です。
着物の畳み方と小物と紐の片付け方
片付けるときは、着物にシワができないように畳んでいきます。基本の畳み方である「本だたみ」をご紹介します。
着物の畳み方(本だたみ)
2.手前(右腕側)の脇の縫い目で折ります。
3.衽(おくみ)線に沿って手前に折り返します。
4.衿の肩のところから両方の衿を合わせるように折ります。
5.奥にある左脇の縫い目と手前にある右脇の縫い目を合わせるように半分に折ります。
6.上側の左袖を身頃の上に重ねるように折ります。
7.下側の右袖を身頃の下に折り込みます。
8.身頃の長さに合わせて袖を畳みます。
9.たとう紙に包みます。
小物と紐の片付け方
帯揚げや紐などは着物と同様に陰干しして湿気を取ったあと、四つ折りか巻いて保管します。足袋はブラシなどを使って汚れを落としてからネットに入れて洗濯をしましょう。干すときはシワにならないように伸ばします。草履はやわらかい布で汚れを拭き取ったあと陰干しをします。保管する際は鼻緒の形を整えましょう。
着物を劣化させない片付け方②収納方法
着物のお手入れが済んだら、正しい方法で収納を行いましょう。
着物の収納方法
まずはシワが出来ないように丁寧に畳みます。次に着物を保管するための「たとう紙」に包んだら、桐箱や桐たんすに収納しましょう。
プラスチックケースに収納する際のポイント
桐箱や桐たんすをお持ちでない場合は、プラスチックケースで代用することが可能です。着物を折らずに入れられる大きいサイズのケースが理想的ですが、無い場合はたとう紙ごと二つ折り・三つ折りにして収納します。プラスチックケースは湿気を呼びにくいため着物の収納に適していますが、除湿剤や防虫剤を入れておくと安心です。
着物を片付ける際のポイント
湿気対策
着物が湿気を含んでいると、雑菌・虫・シミ・カビの発生に繋がります。「保管前に着物についた湿気を取り除く」「保管時は湿気を寄せ付けない」のがポイントです。
汚れ対策
着用後はどうしても皮脂や汗などがついてしまいます。一晩ハンガーで陰干しし、汗を完全に乾かしてから保管しましょう。
紫外線対策
紫外線は着物の変色や劣化に繋がります。干すときや保管するときは日光が当たらないようにしましょう。また、蛍光灯も微量の紫外線を含んでいます。たとう紙に包んでいたとしても蛍光灯の下に長時間置くのは避けましょう。
変色対策
紫外線や防虫剤などの影響で着物が変色してしまう恐れがあります。紫外線対策・虫対策のカテゴリを参考にしてください。
シワ対策
次もきれいな状態で着用できるよう、畳み方に気を付けてシワ対策を行いましょう。収納ケースいっぱいにつめない・重ねすぎないことも大切です。大きめのケースを使用し、スペースに余裕をもって保管しましょう。
虫対策
虫を寄せ付けないよう、ケースの中には着物用の防虫剤を入れましょう。引き出しの上部に入れると全体に行きわたり、長期間虫から守ってくれます。ただし、防虫剤が着物に直接触れると変色してしまうおそれがあるので注意が必要です。ウールの素材のものは虫が好むため、他の着物と一緒に保管するのは避けましょう。
下記の記事では、着物の収納方法についてさらに詳しく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。
参考記事:着物の収納方法を解説!大切な着物をより美しく長持ちさせるために
着物をきれいに片付けて収納するのは大変!手放す方法は?
着物をきれいな状態で保管し続けるにはどうしても手間がかかってしまいます。ほとんど着ない・収納・保管の場所が無いなど、それぞれの事情で手放すことを検討されている方がいらっしゃるかもしれません。手放す際は、自治体の廃棄方法に従ってゴミとして処分することが可能です。しかし、処分方法を調べることや、量が多い場合はゴミとして出すのも大変です。
一番おすすめなのは着物の買取を行っている買取業者に依頼すること。思わぬ高額査定に繋がる可能性もあるので、廃棄してしまう前に一度査定してみるのがおすすめです。
着物の買取店を選ぶ際のポイントは?
なるべく高く買い取ってもらうために、買取店を選ぶポイントをご紹介します。
●着物の買取を依頼する際のポイント
着物の買取実績が豊富
買取実績が豊富な業者であれば、経験によって審美眼が養われており適正価格で判断してくれます。また、高く売却できるルートも持っているため他店よりも査定額が上がる可能性もあります。
着物に詳しい鑑定士が所属している
着物の価値を一般の方が正確に見定めるのは難しいものです。鑑定士に知識がなければ相場よりも低価格になってしまうことも。知識と経験が豊富な専門の鑑定士が在籍しているかどうか確認しましょう。
メディア露出がある業者
メディアに露出経験がある業者は、豊富な知識と経験を持つスタッフがいることがメディアによって保証されているといえます。
アフターフォローがしっかりしている
大切な着物であればあるほど、売却後に後悔してしまうことがあるかもしれません。クーリングオフ制度を利用できるなど、アフターフォローがしっかりしている業者だと最初から分かっていれば安心してお願いすることができます。
担当者の対応が丁寧
担当者の対応が丁寧な会社であれば、疑問点も気軽に確認しやすいでしょう。実際に依頼する際はきめ細かいサービスが行き届いているか、品物を丁寧に扱ってくれるかどうかも確認しましょう。
証紙・落款を一緒に提出
着物の産地や素材・作家着物であることなどを保証する証紙や落款がある場合は一緒に提出しましょう。より正確に査定することができます。
和装小物も一緒に査定依頼する
着物を着用するためには、長襦袢や帯、草履といった小物が必要です。小物もお持ちの場合は一緒に査定依頼をしましょう。着物単品よりも高く査定される可能性があります。
査定前にお手入れをする
査定金額を大きく左右するわけではありませんが、美しい状態の着物のほうが鑑定士からの印象が良くなります。着物を査定に出すときはできるだけ事前にお手入れをしておきましょう。
着物買取
まとめ
着物を長く美しい状態で着用するためには、正しいお手入れと収納が必要不可欠。普段から脱ぎ方・畳み方に気を付けることが肝心です。着物は洋服と違い独自のお手入れが必要ですが、本来は日常的に着ていたもの。この記事を参考にお手入れしながら、素敵な着物ライフを楽しんでくださいね。
価値が分からない着物をお持ちの方や処分を考えている方は、古美術八光堂で一度査定してみてはいかがでしょうか。専門知識と経験豊富なスタッフが丁寧に鑑定いたします。古いものや汚れがあるものでも高値で取引されているものもあります。ぜひお気軽にご相談ください。
着物買取