遺品整理業者とのトラブルが急増?よくあるトラブルとその対策
遺品整理業者は、遺族に代わり遺品整理を行ってくれるサービスです。もともと遺品整理は精神的にも肉体的にも簡単ではない作業のため、故人を失ったばかりの遺族にとって大きい負担でした。さらに核家族化や高齢化など日本の家族の形が変化する中で、遺品整理サービスを利用する方は年々増加しています。
しかし残念ながら、遺品整理サービスの認知度が上がると同時に遺品整理業者とのトラブルの声も増えています。いったいなぜでしょうか。
この記事では、遺品整理業者とのトラブルはどのようなものがあるのか、対策とともにご紹介します。
遺品整理業者とのトラブルが増加中? 理由は?
遺品整理業者は、遺族に代わり遺品整理を行ってくれる業者です。遺品整理業者とのトラブルは、なぜ増えているのでしょうか。
遺品整理業者が増加している
遺品整理業者は年々増加しており、今や1万社以上あるといわれています。核家族化や高齢者の独居世帯の増加により、遺品整理業者のニーズが高まり、多くの企業が参入しています。
業者の増加に伴って悪徳業者が参入するケースが増加
遺品整理業者の需要・認知度が上がるに伴って、モラルに欠けた悪質な業者も増えており、依頼者と業者の間でトラブルが多数報告されています。
国民生活センターへの問い合わせの実情
国民センターから発表されたデータによると、遺品整理サービス関連の相談は2013年から2018年の6年間で全国から推計522件寄せられています。
「高額な追加料金を請求された」「処分しない予定の遺品が処分されてしまった」など、料金や作業内容に関することが多数を占めています。
遺品整理業者とのよくある7つのトラブルと対策
遺品整理業者に依頼する方は、大切な方を失った悲しみに暮れる遺族がほとんどです。そんな状況で悪徳業者に出会ってしまった際でもしっかりと対応できるように、少しでも多くの情報を知っておきましょう。遺品整理業者とのトラブルは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
1.見積りよりも高い金額を請求された
トラブルの内容
遺品整理業者とのトラブルの中で最も多いのが、料金に関するものです。事前説明をせずに追加料金が加算され、見積もりよりも高額な請求をされたという被害が多数あります。安く見積もりを出しておき、作業後に物量の多さや時間超過を理由に3~4倍の法外な請求をしてくる悪質業者も。相談もなくトラックや作業員を増やしたり、作業のためと路上駐車をして違反切符を切られたというクレームをつけたりと、あの手この手で金額を上乗せしてくる業者もいます。
対策
遺品整理は人生でそう何度も経験することではないので、料金相場についての認識不足もトラブルの要因となっています。また遺品整理をしていると、依頼者も把握していないものが出てきたり、予定外の作業で追加作業が必要となることも多くあります。そのため見積り金額と最終的な請求額が変動することもあるでしょう。
だからといって依頼者への相談もなく、勝手に作業を行い高額請求をするのは不当行為です。事前見積もりの段階で料金と具体的な作業内容を確認し、追加料金についても確認しておきましょう。曖昧な返答をされたり、不信感を抱くような対応をしたりする業者であればきっぱりと断ることも大切です。
2.作業内容に見合わない不当な高額請求をされた
トラブルの内容
遺品の量がそれほど多くないにも関わらず高額な見積もりを出してくる悪徳業者も存在します。不審に思い他社にも見積もりを取ろうとしても、恫喝するなどして無理やり契約をさせてしまうという被害です。特に女性や高齢者などから多くの相談が寄せられています。
対策
高齢者や女性を狙い、不当な高額請求をするという手口が存在します。遺品整理という作業の性質上、訪問見積もりは室内で行われます。信頼できる業者だと判断できるまでは、可能であれば男性にも立ち会ってもらうようにしましょう。
事前に相場を知っておくことも大切です。2トン平トラックいっぱいの積載であれば、相場は7~8万円が目安です。
3.スタッフが遺品を盗難・窃盗した
トラブルの内容
依頼者が見ていないところで遺品を盗む悪徳業者が存在します。例えば遺族も気づいていないへそくり・スマートフォン・小型の家電・カード類が入ったままの財布や商品券などは持ち出しやすく狙われやすいので注意が必要です。
対策
遺品を勝手に持ち出したり盗んだりするのは犯罪です。もし被害に遭った場合は、すみやかに警察に「被害届」「遺失物届」を提出しましょう。
どんなに対応が良く優良な遺品業者だと感じていても、信頼しすぎないように注意することが大切です。狙われやすいものや大切な遺品などはあらかじめ別の場所へ移動して保管しておきましょう。
4.遺品を不法投棄された
トラブルの内容
回収費やリサイクル料を支払っているにも関わらず、遺品を空き地や山奥、川底などに不法投棄されたというトラブルです。業者は本来、遺品を処分する際は国や自治体のルールに基づいて適切な対応を行わなければなりません。しかし悪徳業者は、依頼人が料金を支払っているにも関わらず不法投棄を行い利益を出そうと考えているのです。捨てられた遺品から個人情報が特定された場合、遺族が責任を問われてしまう恐れもあります。
対策
不法投棄は極端に料金が安い業者でよくあるトラブルです。他の業者と比べてあまりに料金が安い場合は注意が必要です。また、依頼の前に「一般廃棄物収集運搬業許可」や「産業廃棄物収集運搬業許可証」などの資格をもっているか確認しましょう。
不法投棄はれっきとした犯罪です。個人であれば5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、法人であれば3億円以下の罰金など、重い処罰が課される場合もあります。
5.形見・権利書を確認せずに遺品を処分された
トラブルの内容
遺品の中には、保管しておきたい形見の品や、土地の権利書などの大切なものが混ざっていることがあります。一般的な遺品整理業者であれば1つ1つ依頼者に確認を行いますが、いい加減な業者は依頼者への確認をせずにすべて「不用品」として処分してしまい、大切なものを失ってしまう恐れも。
対策
重要なものを勝手に処分されないためには、業者に遺品を勝手に処分しないように充分伝えておきましょう。業者にはまず仕分けを行ってもらい、保管する・処分するという判断は必ず依頼者が行うようにしましょう。特に写真などは他人には価値を判断するのは難しいもの。本当に大切なものは先に別の場所に保管しておくと安心です。
6.作業が乱雑で遺品や自宅を傷つけられたり、騒音で近所に迷惑がかかった
トラブルの内容
遺品整理業者が遺品を整理・運搬する際に、自宅を傷つけられたり、大きな音を出してしまい近所迷惑になってしまったりするというトラブルがあります。また、大きなトラックで道をふさいでしまい近所迷惑になるということも。
対策
遺品整理の作業料金で比較すると、安い料金の業者が候補に挙がることもあるでしょう。しかしながら料金が安い業者の中には悪徳業者が混じっている可能性も高くなるので、必ず企業の対応をみて最終的に依頼するかどうか判断しましょう。相談や訪問見積もりの際に担当者の対応に少しでも疑問を感じた場合、他の業者にお願いするというのも方法の1つです。どんなに気を付けていても、家具や家財に誤って傷をつけてしまうことも。誠実な遺品整理業者は保証に加入していますので、依頼前にWebページなどで確認を行いましょう。
7.骨董品・美術品を買い叩かれた
トラブルの内容
遺品整理業者の中には、骨董品や美術品の買取を行っているところもあります。依頼人には骨董品の正確な価値が分からないことに付け込み、安く買い叩いたうえに転売して利益を出そうとする悪徳業者も存在します。クーリングオフ期間中であればキャンセルも可能ですが、過ぎていると泣き寝入りしなければならないことも。
対策
依頼人があまり相場を知らないことをいいことに、故人の骨董品や掛軸・絵画などの高価なコレクションを安く買い取ってしまう業者は数多く存在します。高額査定がつく可能性がある遺品がある場合は、ついでに買取をしてもらうのではなく、何社かに見積もりを取りましょう。あらかじめ古物商の資格を持っている買取専門業者にお願いするのも安心な方法です。
悪質な遺品整理業者に共通する特徴とは
遺品整理業者にお願いする際にトラブルに遭わないようにするためには、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか。悪質な遺品整理業者にはいくつかの共通する特徴があります。
相場よりも見積の金額が安すぎる
遺品整理業者に依頼する際、最も気になるのは費用です。遺品整理は作業量が多く料金も高いと感じられるため、複数社比較して一番安いところにお願いしたいと思う方も多いでしょう。しかし、ほかの業者と比較して著しく見積もりが安い場合、悪徳業者かもしれません。見積もり時には安く提示し、後から理由をつけて多額の追加料金を請求するという事例が多くあります。
見積書の内訳が不明瞭
一般的に訪問見積もりの際には「どの作業にいくらかかるのか」という内訳が記載された見積書が提示されます。しかし、「作業代一式」としてまとめるなど見積もりの内訳を明確に出さない業者は注意が必要です。さらに作業内容により追加料金や別途費用が掛かる可能性があることをきちんと説明しない業者は、あとから高い金額を請求してくる可能性があります。
訪問ではなく電話での見積りしか提示しない
遺品整理業者に依頼する前に確実にお願いしたいのが「訪問見積もり」です。遺品整理は部屋の大きさや物量などで料金が左右されるため、実際に見てもらわなければ正しい見積もりを出すことができません。しかし、訪問見積もりを嫌がり電話やメールのみで見積もりを済ませようとしてくる業者には注意が必要です。あとから追加で高額請求される恐れがあります。
問い合わせの際の営業が強引・高圧的
遺品整理は人生でそう何度も経験することがなく、依頼者は故人が亡くなった悲しみで精神的に弱っている場合も多いでしょう。そんな中、依頼者に強引・高圧的に迫り感情の弱みに付け込むように契約を取る業者も存在します。そのような業者は依頼をしても、遺品を乱暴に扱うなど故人への敬意を払わない行動を取る場合が多いので、きっぱりとお断りしましょう。
企業のWebサイトがない、または情報が少ない・古い
遺品整理業者を探す際はインターネット検索が便利な方法です。しかし企業によってはWebサイトに情報が少ない・古い場合や、そもそもWebサイトを持っていない場合も。実績がある業者の多くは自社のWebサイトを持っており、会社の所在地・電話番号・代表者名はもちろん、スタッフや事例・資格などの依頼者の判断に役立つ適切な情報を掲載しています。必ずWebサイトを確認し、信頼できる業者かどうか確かめましょう。
遺品整理業に必要な許認可を得ているかが不明
遺品整理はただ物の整理をするだけではなく、不用品の処分などのさまざまな作業を同時に行います。内容によっては国や自治体による許可が必要なものもあります。例えば不用品の運搬は「一般廃棄物収集運搬業許可」、遺品の買取は「古物商許可」などです。業者が希望するサービスに必要な許可を得ているか、事前にWebサイトなどで確認を行いましょう。資格のない業者に遺品を渡してしまうと、乱雑に扱われたり、悪用されたりする可能性が高くなります。
買取の専門家・鑑定士などが所属していない
「遺品整理士」という、一般財団法人遺品整理士認定協会が発行している資格があります。
遺品整理の作業は、単に品物を整理するだけではなく、専門的な作業です。遺品整理業者を開業するにあたり遺品整理士の資格は必須ではありません。しかし、専門の資格を有しているということは、信頼できる業者であるということの1つの指針となります。
また、「一般廃棄物収集運搬業許可」や「古物商許可」の資格を持つスタッフなど、買取の専門家や鑑定士が所属している業者にお願いしましょう。
遺品整理業者を選ぶ際の5つのポイント
遺品整理は、きちんと要望に応えてくれる信頼できる業者に依頼したいものです。遺品整理業者を選ぶ際に確認しておきたい5つのポイントをご紹介します。
1.実績
遺品整理・不用品回収の実績が豊富かどうか
遺品整理はただ物の整理をするだけではありません。故人への敬意を持ち、供養も行う専門的な仕事です。遺品整理業者を名乗る企業の中には、残念ながら専門外の悪徳業者も含まれています。事前にWebサイトで確認し、信頼できる実績があるか確認しましょう。
メディア露出や掲載があるかどうか
実績がある業者は業界からの信頼も厚く、メディアに露出経験がある場合も。
2.利便性
対応可能なエリアの業者か
遺品整理は家の中で作業を行います。業者が対応可能なエリアかどうか確認しましょう。インターネット「遺品整理+地名」で検索すると、対応している業者が見つかります。
訪問見積りに対応しているか
遺品整理の料金は遺品の状況や量によって大きく変わるため、依頼前に必ず訪問見積もりをお願いしましょう。その際、担当者が感じよくきちんとしているか、名刺や見積書は正しいものかなど、信頼できる業者かどうか判断しましょう。
サービス内容がHPなどに明確に記載されているか
事前に業者のWebページを確認しておきましょう。Webページに情報が少ない業者は怪しい業者の可能性も。Webページでは、サービス内容を見て希望に合ったサービスが受けられるかチェックします。さらに「会社概要」や「会社案内」には業者が取得している資格が記載されているので、併せて確認すると良いでしょう。スタッフの顔写真もあると安心できます。
3.信頼性
アフターフォローの有無や内容
遺品整理が終わっても遺族にはさまざまな問題や手続きが残されています。例えば、空き家になった住宅の売却・賃貸・解体・ハウスクリーニング・リフォーム・相続問題など、気軽に相談が難しい大きな悩みを抱えてしまうことも。遺品にまつわるさまざまなアフターフォローをしてくれる業者もあるので、必要であれば確認してからお願いしましょう。
担当者の対応が丁寧・謙虚であるか
ほとんどの方が遺品整理業者への依頼が初めての経験になるため、さまざまな疑問や質問が出てくるでしょう。そんなときに納得できるまで応えてくれる業者を選ぶことが最も重要です。大切な故人の思い出の品々を扱ってもらうのですから、気持ちの良い対応をしてくれる業者を選びましょう。
見積書の内訳が明確かどうか
遺品整理は作業量が多く見積もりで提示された費用が一見高額に見えるため、適切な料金かどうか見極めるのが難しいかもしれません。ポイントは見積書の内容が明確に記載されているかです。例えば「遺品整理作業一式」というようなざっくりとした表記ではなく、詳細な内訳になっているか確認しましょう。また、追加費用の有無についての説明があるかどうかも信頼できる業者を判断するポイントとなります。いずれにしても初めての方にも分かりやすく書かれていることが大切です。
4.必要な資格や許可の有無
必ず確認したいポイント
まずは「遺品整理士」が在籍しているかどうかを確認しましょう。遺品整理士とは、遺品整理にまつわる法律や正しい供養の仕方を身に着けている有資格者です。
加えて「一般廃棄物収集運搬業務許可」を確認しましょう。一般家庭から出る不用品を処理するときに必要な許可証です。自社で持っていないところでも許可を所持している業者と連携している場合はその旨の記載があります。
プラスアルファで確認したいポイント
骨董品などの買取サービスも検討している場合は「古物商許可証」を取得している業者にお願いしましょう。また室内の特別な清掃が必要なら、「事件現場特殊清掃士」の資格を持った業者であれば安心です。
5.その他のポイント
遺品整理だけでなく鑑定も可能
遺品に高価なものがある場合は、遺品整理を行いながら鑑定もしてくれる業者にお願いすると効率的です。
デジタル機器の処分にも対応している
故人が遺したパソコンやスマホの中には、写真や動画だけではなく、ブログ・SNS・ネットバンクの口座も存在します。そのままにしておくと個人情報の流出などのトラブルに発展する恐れがあるので危険です。悪徳業者の中にはパソコンやスマホ内のクレジットカード情報を抜き取り悪用するケースもあるため、デジタル機器の処分に対応している遺品整理業者にお願いするようにしましょう。
オプションサービスの有無
遺品整理を行っていくうちに、予期せぬ問題が発生することもあるでしょう。たくさんのオプションサービスがある業者であれば、後から問題が発生しても対応可能です。オプションサービスの例としては、遺品の供養・ハウスクリーニング・解体・リフォーム工事などがあります。さらに一般の方では難しい害虫駆除や消臭・除菌などを行っているところも。
鑑+断捨離(カンシャリ)
まとめ
遺品整理は、遺族の負担を軽くするのをサポートしてくれる便利なサービスです。本来の遺品整理業者であれば、弔いの心を持ち遺品の整理から処分まで誠実に対応してくれます。しかし残念ながら遺族の悲しみにつけこんでくる悪徳業者も存在します。そんな悪徳業者の被害に遭わないためにも、事前にトラブルを知っておくことが大切です。
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鑑+断捨離(カンシャリ)