香木の種類はどんなものがある?香道で利用される3種と価値の高い香木を解説!
香木とは、日本では「香道」に用いられる木のことを指します香木とは、香りのする木のこと。香木の香りにはリラックス効果があり、癒しを求める人たちから人気があります。日本では室町時代に「香道」が確立し、香りを楽しむ伝統文化として根づいています。近年では香木の需要が高まり、最上級の香木はかなりの高値で取引されています。この記事では、主な香木3種類と香木の価値、買取相場について詳しく紹介します。
■香木とは?
●香木の概要
香木とは、良い香りを持った樹木のこと。香道を楽しむために用いられる木のことで、薄く削った木片を加熱し香りを楽しむために使われます。伽羅、沈香となる木香木となる木は樹皮が傷つくと樹液を出して傷を食い止めます。樹液が固まったものを樹脂といい、長い年月をかけてバクテリアや菌が樹脂を変質させて香りを放つようになります。樹脂は熟成をし続け香木になります。樹木の種類や傷のつき方、木の部位によって香りの強さや匂いが異なるのが特徴です。
香木ができるまでには約30~50年以上の長い年月が必要です。さらに質の良い香木になるには約100~150年以上かかるため大量生産が難しく、最上級の香木はかなりの高額で取引されています。
日本では一般的に、伽羅(きゃら)・沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)の3種類を香木といいます。
●香木の歴史
香木が日本に伝わったのは6世紀末のこと。日本で最も古い史書の1つである『日本書紀』には、香木が日本に伝わった経緯が伝説として記されています。595年に淡路島に流れ着いた木を燃やしたところ良い香りを放つことに驚いた島民が朝廷へ献上。推古天皇の摂政であった聖徳太子が「香木(沈香)」と鑑定したとされています。仏教の儀礼に使う道具の1つに含まれた香木は、仏教と共に日本文化へと広まっていきます。
香木は主に東南アジアで産出されているため、当時からなかなか手に入れることができない貴重なものでした。
平安時代になると貴族が香り自体を楽しむようになり、美意識や身分を表現する「遊びの香り」として発展させます。鎌倉時代になると、武将が合戦の合間の癒しとして香と茶をたしなむようになります。室町時代になると、8代将軍・足利義政が公家の三條西実隆・武家の志野宗信らに命じて現在の「香道」の基礎を作り、発展させていきます。
奈良時代・聖武天皇ゆかりの宝物が納められている東大寺・正倉院にも伝説の香木「蘭奢待(らんじゃたい)」が保存されています。蘭奢待は長さ156cm、最大直径が43cm、重さ11.6kgの巨大な伽羅です。歴代の天皇や将軍が手柄を上げた者に蘭奢待を切り取って与えたことから、やがて蘭奢待を持つことが権力を示すと伝えられるようになりました。中でも織田信長が権威を示すために切り取ったことで有名です。
このように貴族や武士などの特権階級でのみ使われた香木ですが、江戸時代になると航海技術の発展により徐々に庶民の間でも広まるようになります。こうして香りは日本の文化に欠かせないものとなっていきました。
■香道に使う香木とは?代表的な3種類を解説!
香道とは、香りを鑑賞する日本の武芸道のこと。香道で使う香木は主に伽羅・沈香・白檀の3種類です。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
●伽羅
・伽羅の特徴
沈香の中でも特に質の良いものを伽羅といいます。多様で複雑な香りを持つ究極の香木と位置づけられています。香りは「幽玄」「幻想的」「上品」「甘くてスパイシー」などと表現されます。 伽羅と沈香の香りの違いは含まれる成分の差だと考えられていますが、詳しいことは分かっていません。沈香は温めることで匂い立ちますが、伽羅はそのままでも良い香りを放つのが特徴です。 ・価値やその他のポイント 伽羅の価値は金よりも高いとされています。なぜなら産地はベトナム中西部の山岳地帯に限られており、生成まで約100年以上もかかるので、非常にわずかしか採取することができません。そのため現在はワシントン条約で取引が制限されています。しかし中国をはじめとして世界中で需要が高まっており、さらに価値が上がり続けています。 |
●沈香
・沈香の特徴
沈香は産地や木の部位により少しずつ香りが異なります。「甘み」「酸み」「塩辛さ」「苦み」「辛み」が複雑に絡まり合っているため、香道でもよく利用されます。 原木は軽いのですが、香りのする樹脂が生成されることで重くなり水に沈むため「沈香」呼ばれるようになりました。紫外線に強く常温でも香りが揮発することが少ないため、長期保存に向いているといわれています。 ・価値やその他のポイント 沈香の産地はフィリピン以外の東南アジアで、ジンチョウゲ科ジンコウ属の植物の一部から採取されます。原木に香りは無く、傷ついた木が傷を治すために出した樹脂が長い時間をかけて熟成し香りを放つようになります。樹脂の生成には傷などの偶然性にも左右されるうえ約50年以上かかり、さらに香り高くなるまでには約100~150年もの年月がかかります。 樹脂が付着して大きくなるにつれ、木は枯れてしまいます。枯れて土中に埋もれた沈香は品質が良く高く評価されます。現在では生育中の原木から採取することが多いため、土中から採取されたものはより貴重な香木として扱われます。 |
●白檀
・白檀の特徴
白檀は高貴で静寂を感じさせる甘い香りが特徴です。日本では線香に用いられることも多いので馴染みがあると感じる方もいらっしゃるでしょう。英語では「サンダルウッド」といい、香水やサンダルウッドオイル(白檀油)としても使われています。主成分のサンタロールは殺菌作用があり、爽快感を与えてくれるため好まれます。白檀の香木は熱を加えなくても香り立ちます。そのため仏像彫刻や数珠など、仏教用品を始めとした工芸品にも使われています。 ・価値やその他のポイント 白檀は幹が灰白色のためその名前がつきました。部位によって香りが異なるのが特徴で、精油が多く含まれている根っこの一番香りがよく、次いで幹、枝の順に評価されます。原産地は太平洋諸島に広く分布しています。中でもインド南部のマイソール地方で産出されるものが世界で最も品質が良いとされ、「老山白檀」と呼ばれています。香りを放つまでに30年以上、さらに上質な香木になるには80年以上かかることや、何らかの植物に寄生しないと成長できない半寄生の木ということもあり、産出量は年々減少しています。 |
■香木の種類を分別する指標「六国五味」とは?
香道には香りを鑑賞する「聞香」と、香りを聞き分ける「組香」があります。その中で香りを分類するために「六国五味(りっこくごみ)」という基準を定め、体系づけています。六国五味とはどのようなものでしょうか。
●六国五味とは?
六国五味とは、香木を判断するための基準です。「六国」とは産地のことで、6種に分けて品質の違いを表しています。「五味」とは香りのことで、味覚で表現するのが特徴です。辛(シン)、甘(カン)、酸(サン)、鹹(カン・塩辛さ)、苦(ク)の5種に分けられます。同じ香木でも香道の流派によって味の表現方法は異なります。
●六国五味に含まれる香木
・伽羅
ベトナムが産地の香木です。優しく、苦みがあるものを上品としています。 ・羅国(らこく) タイが産地の香木です。鋭い苦味があるのが特徴です。 ・真那伽(まなか) マラッカが産地です。軽く艶がある香りが特徴です。 ・真南蛮(まなばん) インド南西のマラバル海岸が産地です。蜂蜜のような甘さがあるとされています。 ・寸聞多羅(すもたら) インドネシアのスマトラが産地です。自然な酸味があり、伽羅と似た香りがするとされています。 ・佐曾羅(さそら) インドのサッソールが産地です。上品な酸味がある香りで、軽く余香もあります。 |
■香木の買取相場と買取業者を選ぶ際のポイント
「遺品整理などで自宅から香木が出てきた……」という方もいるのではないでしょうか?価値の判別ができず、廃棄を検討している方もいるかもしれませんが、それはもったいないかもしれません。香木はものによっては価値が高く、買取市場で高額で取引されることも珍しくありません。ここでは、香木の買取相場や高額査定される香木について解説します。
●香木の買取相場は?
・沈香
沈香の価値は、重さ・黒さ・香りで判断されます。重量が大きく、黒っぽく光沢があるものが高く評価されます。買取価格は1g100円〜5000円と大きくばらつきがあります。古美術八光堂では品質が良い沈香を60万円で買取した実績があります。 ・伽羅 伽羅の価値は金よりも高いといわれており、1g数万円~10万円以上で取引されるものもあります。古美術八光堂では、伽羅を約15075万円で買取した実績があります。 ・白壇 白檀の買取相場は幅広く、質・香り・大きさ・重さによって価格が変わります。中には1g20~170円程度の安価なものも。サイズと重量が大きいものほど高く評価されます。彫刻の場合は有名作家かどうかも査定項目の1つに入ります。古美術八光堂では、白檀を10万円で買取した実績があります。 |
●高額査定される香木とは?
高額査定される香木はどのような特徴があるのでしょうか。
・古い香木である
香木は生成に時間がかかるため、本物の香木は全て古い木です。お持ちの香木の見た目が古そうなものであれば高額査定される可能性があるでしょう。 ・保管箱が付いており、年代を特定しやすい 香木の価値は本体だけではなく、箱・土台などの付属品も影響します。それらに年代などの記載があれば、詳細を特定するのに役立ち高額な査定をしやすくなります。保証書などがあれば査定の際に一緒に提出しましょう。 ・老舗メーカーの商品である 香木は偽物贋作も多くあるため、出所がしっかりしている香木の方が買取価格が上がりやすくなります。例えば老舗のお香メーカーで購入したものと分かれば、本物である可能性が高くなるためです。 |
●香木の買取業者の選び方
香木の売却では、買取業者の選び方が重要になります。専門の鑑定士がいたり、香木の査定経験が豊富であったりしないと、香木の価値を正しく判断してもらえないからです。ここでは、香木の買取業者の選び方について解説します。
・香木の買取実績が豊富
香木は骨董品として取引されています。悪徳業者とのトラブルを避けるため、業者は慎重に選びたいもの。WEBページなどを確認し、香木の買取実績が豊富な業者を選びましょう。
・香木の買取実績が豊富
香木は骨董品として取引されています。悪徳業者とのトラブルを避けるため、業者は慎重に選びたいもの。WEBページなどを確認し、香木の買取実績が豊富な業者を選びましょう。 ・香木に詳しい鑑定士が所属している 香木は種類や部位によって価値が大きく異なることや、一見して価値が分かりにくいので、知識と経験が豊富な専門の鑑定士が在籍しているかどうか確認しましょう。加えて過去に買取実績が豊富な業者であれば審美眼が養われていると考えられるため、安心してお願いすることが出来ます。高く売却できるルートを持っている可能性もあり査定額が上がるかもしれません。 ・メディア露出がある メディアに露出経験がある買取業者は、豊富な知識と経験を持つスタッフがいることがメディアによって保証されています。 ・アフターフォローがしっかりしている 香木の中には価値の高いものもあります。売却したあとに後悔してしまうことがあるかもしれません。クーリングオフ制度を利用できるなど、アフターフォローをしてくれる業者だと最初から分かっていれば安心してお願いすることができるでしょう。 ・担当者の対応が丁寧 担当者には何か疑問があれば気軽に相談をしてみましょう。きめ細かいサービスが行き届いているか、品物を丁寧に扱ってくれるかどうかも確認しましょう。担当者の対応が丁寧な業者であれば、気持よく取引をすることができます。 |
▶専門家による査定を受けられる古美術八光堂は香木買取 にも対応しています。 |
■まとめ
香木が日本に伝わったのは6世紀末のこと。香木は、香りを精神性の中に取り入れた「香道」として今も日本の伝統文化の中に根づいています。
長い時間をかけて生成される香木はとても貴重です。価値の分からない香木をお持ちの方や処分を考えている方は、古美術八光堂で一度査定してみてはいかがでしょうか。専門知識と経験豊富なスタッフが丁寧に鑑定いたします。汚れや傷があっても高値で取引されているものもあります。ぜひお気軽にご相談ください。
▶専門家による査定を受けられる古美術八光堂は香木買取 にも対応しています。 |