掛け軸の価値の見分け方は?鑑定業者を選ぶポイントも解説!
ご自宅に眠っている掛け軸がある方の中には、「うちにある掛け軸も、もしかして高価なものかも?」と思ったことがある方もいるかもしれません。しかし、掛け軸の価値は、作家や制作年代・状態などによって大きく変わります。また、本物と偽物を見分けるのは簡単ではなく、専門的な知識が必要です。そこでこの記事では、掛け軸の価値を判断するポイントや正しく査定してもらう方法・買取業者の選び方などについて解説します
掛け軸とは?本物と偽物の違いと相場
掛け軸とは
掛け軸とは、書や絵画を裂(きれ)や紙で表装し、軸を取り付けて巻き上げられるようにした日本の伝統的な装飾品です。もともとは中国の北宋時代に誕生し、日本には平安時代に伝わったとされています。特に床の間に飾られることが多いため「床掛け」とも呼ばれ、茶道や仏壇、季節の風物詩を楽しむ目的でも使用されます。また、掛け軸は芸術作品としてだけでなく、文化的・歴史的な価値を持つものも多く、希少な作品は高額で取引されることもあります。
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本物と偽物の違いは?
市場に出回っている掛け軸の中でも、有名な作家の作品は特に贋作が多いとされています。著名な作家の掛け軸は高額で取引されるため、贋作者にとって魅力的なターゲットとなるのです。掛け軸の真贋を見極めるには、いくつかのポイントがあります。
まず確認すべきは、作品に記された署名や落款(らっかん)です。落款とは、作者が自身の作品であることを証明するための署名や印章で、本物の掛け軸ではこの部分に個性が表れます。贋作では、署名や印章が雑だったり、本物の作家のものと微妙に異なっていたりすることが多いので注意が必要です。
次に、作品の材質や紙の質感を観察します。高品質の作品には、耐久性のある紙や絹が使用されており、長い年月が経っても変色しにくいものが多いです。一方、安価な偽物では、比較的新しい紙が使われていたり、印刷技術を用いて作られていたりすることがあります。
とはいえ、加工技術が発達していることにより巧妙な偽物が増えているため、一般の方が見分けるのは非常に困難です。本物と偽物の見極めは専門家に依頼しましょう。
掛け軸の相場は?
掛け軸の相場は作家によっても作品によっても年代によっても保存状態によってもピンキリです。ここでは、掛け軸に描かれている絵のジャンルごとに分けて相場を紹介します。
特に人気のあるジャンルとして、花鳥画・山水画・神仏画・水墨画・中国掛軸が挙げられます。
・花鳥画
花鳥画は、花や鳥を中心に草木や小動物を描いた日本画で、元々は中国から伝わったジャンルの一つです。このジャンルは掛軸の中でも特に数が多く、買取価格の幅も広いのが特徴です。作家による作品であれば3万円程度から査定され、高名な画家のものでは数十万円の価値がつくこともあります。例えば、王雪涛の作品が20万円で取引された例もあります。
・山水画
山水画は、山や川、樹木などを描いた風景画の一種で、単なる写実ではなく理想郷としての風景が表現されているのが特徴です。日本でも幽玄な美しさが評価され、作家物の相場は2万円程度からですが、人気作家の作品であれば20~30万円の値がつくこともあります。
・新仏画
神仏画は、神や仏を主題とした絵画で、掛軸の本来の用途である「掛けて拝する」という目的に即したものです。買取価格は作家や作品の状態に大きく左右されますが、一般的には2~5万円が相場とされています。一方で、棟方志功の作品のように100万円以上の価値がつくこともあります。
・水墨画
水墨画は、墨の濃淡だけで表現される芸術形式で、ぼかし技法を駆使した奥深い表現が特徴です。買取価格は作家の知名度によって大きく異なり、一般的な作家物の相場は5万円程度ですが、北大路魯山人の作品などは数十万円以上で取引されることもあります。
・中国掛け軸
中国掛け軸は、中国の技法で描かれたものや中国の作家による作品を指し、日本の掛軸よりも高額で取引される傾向があります。特に近年、中国国内で文化財の持ち出しが制限され、富裕層による需要が高まっているため、相場が上昇しています。作家物の価格は5~15万円程度ですが、著名な作家の作品であれば1,000万円を超えるケースもあります。
掛け軸の価値の見分け方
掛け軸の価値を判断する際には、以下のようなポイントが重要になります。
有名作家の作品であるか
掛け軸の価値は、作者によって大きく左右されます。特に歴史的に評価の高い作家や人気のある作家の作品は、高値がつきやすくなります。作品に記された落款や署名を確認し、信頼できる出典があるかどうかを調べることが大切です。ただし、落款・署名どちらかが記された掛け軸もあり、著名な作家ほど贋作が多いのも事実。詳しく知りたい場合は専門家に鑑定を依頼するのが確実です。
肉筆で描かれた作品であること
本物の掛け軸は、筆を使って直接描かれた「肉筆作品」であることがほとんどです。これに対し、印刷技術を用いた偽物は、線の表現が均一であったり、拡大するとドットのようなパターンが見えることがあります。肉筆かどうかを見極めるには、ルーペや拡大鏡を使って筆跡の濃淡や線の流れを確認するとよいでしょう。
ただ、これに関しても、掛け軸が肉筆か印刷かを見分けるのは難しいので、専門家や鑑定士に依頼することをおすすめします。
制作された年代が古い
掛け軸の希少価値を判断する際には、作品がいつ制作されたかも重要な要素となります。一般的に、時代が古いものほど現存数が少なく、希少性が高まります。掛け軸の年代を知る手がかりとしては、使用されている紙や絹の種類・表装の技術・作品に描かれているモチーフや画風などに注目します。
正規ルートで入手した作品である
掛軸の価値は、入手経路によっても左右されます。美術館や博物館に収蔵されていた作品や有名なコレクターが所有していた作品は、信頼性が高く、評価も上がります。美術商の値札や購入時の証明書や書類などが残っているかどうかを確認しましょう。
共箱に記された「落款」や「署名」を確認する
共箱とは掛け軸が保管されている箱のことで、作家自身が共箱に落款や印を押したり署名を記したります。この共箱に記された落款や署名は掛軸の真偽を判断する重要な手がかりなので、残っていれば価値はより高くなります。
日本の作品か中国の作品か
掛軸が日本の作品か中国の作品かもポイントです。前述したように、掛け軸は日本だけでなく中国でも古くから作られてきました。特に中国の掛け軸は、独自の芸術性と文化的背景を持ち、国際的な骨董市場でも人気があります。「書画同源」という概念のもと、書と絵画が一体となった表現が特徴的で、近年では中国国内での需要の増加に伴い、価値がさらに高まっています。
掛け軸を正しい価値で買い取ってもらうポイント
付属品を揃える
掛け軸を売却する際には、作品本体だけでなく、付属品もできるだけ揃えておくことが大切です。例えば、掛け軸が収納されていた共箱・購入時に付属していた鑑定書や証明書・作家の名前や作品に関する情報が記された書類などがあれば、より正確な価値を評価してもらえます。
特に近現代の作家による作品の場合、共箱があるかないかで査定額が大きく変わることがあります。共箱には作家自身の署名や印が記されていることが多く、真贋の判断材料として重要視されるため、手元にある場合は必ず一緒に査定に出しましょう。
入手経路を確認する
掛け軸の信頼性を高めるためには、「どこで、どのように入手したのか」を明確にしておくことが大切です。誰かから譲り受けたものであれば、過去の持ち主や来歴について記録が残っていないか確認しましょう。また、美術商や百貨店・オークションなど信頼できる場所で購入した場合は、その記録を保管しておくことをおすすめします。正規のルートで取引された作品であれば、真贋の証明がしやすくなり、査定額の向上につながる可能性があります。
お手入れのしすぎに注意する
掛け軸にシミや汚れがあると、査定額が下がることがあります。しかし、自己判断で過度なクリーニングを行うのは避けたほうがベター。掛け軸の素材や絵の具の特性によっては、誤った手入れによってかえって作品を傷めてしまい、価値を損なう恐れがあります。特にシミやカビの除去は、専門の修復家に依頼するのが最も安全な方法です。状態が気になる場合は、鑑定の際に相談し、適切な処置についてアドバイスをもらうとよいでしょう。
関連記事: 掛軸の正しい保管方法・手入れ方法とは?
まとめて売却する
もし複数の掛け軸を所有しているのであれば、単品で売るよりもまとめて売却するほうが査定額が上がることがあります。これは、買取業者側が一括で査定・販売できるため、手間やコストを削減できるからです。また、価値の高い作品と比較的価値の低い作品を組み合わせることで、トータルの評価額が上がることもあります。もし売却を検討している掛け軸が複数ある場合は、まとめて査定に出してみてください。
適切な買取業者で鑑定してもらう
掛け軸の価値を正しく査定してもらうためには、専門的な知識を持っていて、掛軸や骨董品の買取実績が豊富な業者に依頼することが大事です。次項で信頼できる業者の選び方について解説します。
掛け軸の価値を正しく見分けてくれる業者とは?
掛け軸の価値を正しく査定してもらうためには、信頼できる買取業者に依頼することが重要です。特に、以下のポイントを押さえて業者を選ぶと安心です。
掛け軸の買取実績が豊富である
掛け軸を専門に扱う買取業者の中でも、過去に多くの実績がある業者は、審美眼が養われているため、適正な価格で査定してもらいやすくなります。また、販路を多く持っているため、より高値で売却できる可能性もあります。
掛け軸に詳しい鑑定士が所属している
掛け軸の査定には専門的な知識が必要です。特に、作家や年代、画風などを正確に判断できる鑑定士が在籍しているかどうかを確認しましょう。経験豊富な鑑定士がいる業者であれば、価値を見逃すことなく適正に評価してもらえます。
メディア露出があり母体がしっかりしている会社
テレビや新聞・雑誌などのメディアに取り上げられた実績がある業者は、一定の信頼性があると判断できます。また、企業の規模が大きく、資金力がある業者であれば、高額な掛け軸も適正な価格で買い取ることが可能です。
取引環境を確認する
査定から買取・支払いまでの流れが明確で、個人情報の管理や決済方法に配慮があるかどうかも確認しましょう。また、査定後に納得できなかった場合にキャンセルできるかどうか、保証制度があるかどうかもチェックしておくと安心です。
Q&Aやアフターフォローがしっかりしている
掛け軸を売却した後に「やっぱり手元に残しておけばよかった」と後悔することがないように、クーリングオフ制度を導入している業者を選ぶのも一つの方法です。また、査定結果について詳しく説明してくれる業者であれば、納得感のある取引ができます。
担当者が丁寧に対応してくれる
業者の対応の良し悪しも、信頼できるかどうかを判断するポイントになります。査定の際に疑問や不安を気軽に相談できるか、説明が丁寧かどうかを確認しましょう。対応が誠実な業者であれば、安心して売却を進めることができます。
掛け軸高額買取
まとめ
掛け軸の価値を見極めるには、作家や制作年代・状態、そして真贋の判断がポイントとなります。しかし、一般の方が細かいポイントを見分けるのは難しいもの……。信頼できる専門家や買取業者に鑑定を依頼するのが確実な方法です。また、査定額をアップさせるには、共箱や証明書を揃えたり、まとめて売却したりするのもおすすめです。大切な掛け軸を適正価格で売却できるよう、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。
掛け軸高額買取