王室をも虜にした陶磁器 ロイヤル・ウースター
「ロイヤル・ウースター」について
ロイヤル・ウースターとは、イギリスの陶磁器メーカーのひとつで、イギリス国内で現存する最古の老舗メーカーです。1788年には、陶磁器業界では初となる王室御用達の称号を授与され、今なお称号が途切れることなく人々に愛され続けています。この称号とは、王室から高い品質を認められ与えられる証であり、大変名誉ある称号なのです。
17世紀当時、イギリスで採取される土では真っ白な磁器の製造は難しく、輸入された中国陶磁器の白く輝く美しさに強い憧れがありました。そんな中、創始者のひとりで化学者でもあり医者でもあるジョン・ウォール博士が技術的な面において指南をすることで、白く薄い磁器の製造に成功したのです。その後発明されたボーン・チャイナの技術により、ロイヤル・ウースターの名は広く人気を博すこととなります。
その中でも藍で染付されブルー・リリーと名付けられたシリーズは、1788年に国王ジョージ3世とシャーロット王妃が窯を訪れた際にこのシリーズを大層気に入り、これを機に王家御用達の称号を授与されます。そしてこのシリーズは以後ロイヤルの名前を冠し、ロイヤル・リリーの名前で愛されるシリーズとなりました。
この当時、中国や日本の陶磁器から感化されたようなデザインや絵付けも多々あり、遠く離れたイギリスへもジャポニズムの影響が窺い知ることができます。
また、ロイヤル・ウースターの代表作といえば、ペインテッド・フルーツです。こちらはベースに本物の金を贅沢に使い、さらにその上にフルーツが瑞々しく細部まで描かれた高級感溢れるシリーズとして広く知られています。
ロイヤル・ウースターでは、デザインを最重要視しており、中でもペインテッド・フルーツの絵付けには7年以上の熟練された職人のみといった大変こだわりのあるシリーズでもあります。描かれたフルーツも、6回もの絵付けを重ねることにより奥行きや立体感が生まれ、食器というよりは絵画のような作品となっています。
さいごに
そんな伝統と格式を誇ったロイヤル・ウースターですが、残念なことに2009年にポートメリオン社に買収されグループの傘下に置かれています。ですが、ロイヤル・ウースターがその昔に培った歴史や生み出された作品は色褪せることなく現代にも受け継がれ、依然として変わらず名声を獲得しています。
その絵付けの繊細さから小さな絵画とも言われるロイヤル・ウースター。もしお手元にございましたらぜひ拝見させていただきたく思います。
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