香取正彦 ~どこまでも響き渡る美と音を楽しむ~
香取正彦について
突然ですが、2016年5月27日はどんな出来事があったかご存知でしょうか?
実は、2016年の5月27日、バラク・オバマ大統領が広島県の広島平和記念公園を訪れた日になります。
広島平和記念公園の広島平和都市記念碑に献花し、オバマ大統領が被爆者である2名とお話をしたあと、抱擁を交わし、涙していた出来事などまだ記憶が新しいかと思いますが、現職の大統領が広島に訪問されたことは初めてのことであり、平和への想いが訪問の実現に繋がったのかもしれません。
そして、平和記念公園ではいつまでも将来に残したい「日本の音風景100選」に選ばれた鐘が設置されています。
毎年8月6日の午前8時15分に平和記念公園で美しく、そしてどこまでも響く鐘の音色。
この梵鐘は、香取正彦が製作したものです。
また、比叡山延暦寺や成田山新勝寺など、数多くのお寺の梵鐘を製作されています。
人間国宝である重要無形文化財保持者に認定されており、みなさんもご存知かもしれませんが、今回はそんな香取正彦のお話をしたいと思います。
金属工芸で初の文化勲章を受章した香取秀真を父に持ち、幼少のころからものづくりに興味があった香取正彦は、自然と父と同じように東京美術学校の鋳金科に入学。卒業した年にパリの現代産業装飾芸術国際博覧会にて銅牌を受賞し高い評価を得ました。
また、帝国美術院展覧会(帝展)では工芸部門において特選を3年間連続で受賞し、その実績から無鑑査という大変名誉ある資格を認められました。
戦後には仏像の修繕など文化財の保護にも大変功績を残されております。
ブロンズ、花瓶などたくさんの作品を残されていますが、香取正彦と言えばやはり梵鐘が有名ですね。
香取正彦の梵鐘は、100点を超えます。
梵鐘制作では、どこで鳴らす鐘なのか、場所によって音色を変えて作り上げ、その場所で一番の美しい音色を響かせるように制作するそうです。
まさに人間国宝たる所以と言えるでしょう。
私自身、まだ一度しか香取正彦の作る梵鐘にお会いできておりません。
また、響き渡る美しい音色に出会いたいものです。