ポール・アイズピリ~自然と家族を愛する画家~
ポール・アイズピリについて
ポール・アイズピリの作品には、初めて彼の作品に触れる人でも、どこか懐かしさや温かさを感じるところがあります。それは、タッチや構図だけではない何かが彼の作品にはあるからではないでしょうか?
・ポール・アイズピリとは?
ポール・アイズピリは1919年にフランスのパリで生まれます。イタリア人の母親とバスク人の血を引く彫刻家である父に育てられ、幼少期から絵を楽しんでいたようです。
アイズピリは絵画の道を志すようになりますが、父親にブール象嵌学校に入学させられてしまいます。しかし、画家になることを諦められなかったアイズピリは、17歳の時にエコール・デ・ボザールに入学します。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、エコール・デ・ボザールとはフランスの国立美術学校であり、なんと350年以上の歴史があります。当然のことながら、ここで芸術を学んだ中にはモネやルノワールなど、現在でも広く名を残す偉大な芸術家たちがいます。
そんな環境で絵を学んだ彼は、第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜になるなど大変な危機を乗り越えて1943年に初の個展をパリで開催します。1945年には「青年絵画展」の創立会員となり、1951年ヴェニス・ビエンナーレにてプリ・ナショナル大賞を受賞。一気にその名を世に広めます。
・鮮やかな色彩
画家として確固たる地位を確立した彼はそれ以降も精力的に活動を続け、世界各国で個展を開催したり、出品したりしました。晩年には自身も「私のパレットは若返ってきた」と語っているように、ますます魅力的な作品を世に送り出しています。日本でも高い人気を誇り、彼の作品をお持ちになっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
そんな彼の作品は、鮮やかな色彩で花、風景、人物などが描かれ、見る人をなんだか包み込むような、温かい感覚にさせてくれます。それは、家族と過ごした場所など彼が描くものに対して彼自身が愛情を感じていたからだと思います。
そんなアイズピリも残念ながらつい先日、2016年1月22日にこの世を去りました。
新たな彼の作品はもう見ることができませんが、現在残されている作品たちは、これからも見る人を幸せな気持ちにさせてくれることでしょう。ご冥福をお祈りいたします。