懐中時計の歴史と魅力~最高峰の技術とは~
懐中時計について・後編
寒波が到来し、都内でも寒さが増してまいりました。
澄みきった夜空には、吐く息が白く映り冬の寒さを感じます。
冬は寒くて嫌だという人が多いかもしれませんが、私は雪とイルミネーションのコントラストが好きで、その景色を楽しむため街を闊歩します(笑)
皆さんも好きな景色があれば是非教えてくださいね♪
さて、前回の続きになる時計のお話です。
・懐中時計の登場
人々が時計を身に付けるようになったのは、17世紀頃だと言われています。
この頃にはまだ、腕時計は発明されておらず、懐中時計が主流でした。当時は職人たちの数も少なく、大変高度な技術を要するためごく一部の貴族のみが持てる、大変貴重な時計でした。
しかし、技術の発展や職人の増加に伴い、段々と市場へと流れるようになりました。19世紀までは、ブランドやメーカーなどはなく、小さな工房で職人さんが1点ずつ手作業で作っていたため、職人一人ひとりのデザインや個性が色濃く残っています。
今や、100年以上歴史のある時計のブランドも始めは小さな工房で作られており、今までに積み重なってきた技術や歴史の重さを感じることが出来ます。
・世界最高峰の懐中時計とは
ちなみに、1827年に作られた世界最高峰の高級懐中時計が現存していることはご存知でしょうか?
時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチと呼ばれた時計職人アブラアム=ルイ=ブレゲがかのフランス王妃マリーアントワネットからの注文で44年の歳月をかけて制作した時計です。
その名も、「マリーアントワネット」。
この世で最高級で最高品質の時計をとの注文で制作に取り掛かった時計で、ブレゲの時計職人としての心血を全て注がれています。
その機能は、うるう年でも狂うことのない永久カレンダーに始まり、暗闇でも時間を知らせることができるミニッツリピーター・・・重力によってゼンマイ機構が壊れることを防ぐトゥールビヨン構造・・・ゼンマイの巻き量を表示するパワーリザーブ機能・・・など、枚挙にいとまがありません。
装丁も高級で、金と水晶がふんだんに使用されており、軸受はサファイアを使用など、まさに時計の中の時計といっても過言ではないでしょう。
そんな国宝級の時計なものですから、1983年に盗まれてしまいました。ですが、2007年に奇跡的に発見され、当時スクープになりました。
現在では、2005年にブレゲ社がマリーアントワネットのレプリカを製作するプロジェクトが始まり、2008年に完成され、バーゼルワールドというスイスの時計フェアで公開されました。
この試みは初代ブレゲの伝統を守り抜いてきた後裔のブレゲ社だからこそ達成できた試みだと思います。
文化を守り、後世につなげ、達成させていく姿勢は我々も見習いたいところです。