金瓶をご売却いただきました
金瓶について
お湯を沸かす道具、といえば皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?薬缶(やかん)、電気ポットやケトルなど現代の湯沸しはとてもバリエーション豊かですね。
さまざま種類がある中で、黄金に輝く湯沸し器「金瓶」をご存知でしょうか?
文字通り純金で出来ている大変豪華な湯沸しです。今回はそんな金瓶についてのお話になります。
茶の湯とのつながり
湯沸しの道具というと、日本で長年使われてきた代表的なものとしては「薬缶」と「鉄瓶」があります。
薬缶は元々中国から伝来してきた漢方の煮出し道具だったようですが、一方で鉄瓶の由来はまた異なり、茶道の湯沸し道具「鉄釜」に“注ぎ口を付けて持ち運びしやすいもの”として派生し、江戸時代には「鉄瓶」として文献にも載っているそうです。
現在でも南部鉄器のブームなど、鉄器の人気再上で鉄瓶を利用する人が増えてきていますが、鉄器というと独特のデザインが魅力的だったりするものポイントかと思います。
茶道はまさに、そんな道具美も重要な要素です。千利休の時代から茶道具は美しさを味わう“美術品”でもあります。
そういった鑑賞価値をより高めるものとして、鉄瓶ならぬ銀瓶、更には金瓶、という美術品が作られました。
金の美しさ
“美術品”という事からも、金瓶は実用というよりも観賞目的としての品になります。
言わずもがな“高価な素材の金で丸ごと作られた”いうだけでも迫力は凄いですが、そういった素材を扱う作り手も一流の腕を持っている、達人ならではの品になってまいりますので、更に美しい加工が映えた芸術品でもあります。
美しい金瓶というと、伝統工芸士の鍛金職人「石黒光南(いしぐろこうなん)」作によるものは有名で、鉄瓶などで使われる技法“霰(あられ)打ち”が非常に優美な作品です。また、金で作られるのは金瓶だけでなく、急須や茶碗など他の茶道具の品もあります。
価値と人気
金瓶の価値については言うまでもありませんが、まず素材が金であるという事自体で大変高価なものです。本体には純金を示す刻印がついています。作家としてのネームバリューがあると、更に“金である以上”の美術的価値もついてまいります。
市場に多く出回るものでもありませんので中々お目に掛かる機会も少ない品ですが、現在もお買取させて頂く事がございます。
昨今は中国の景気上昇と共に金瓶の中国人気などもありましたし、最近はトランプ政権に伴い、今後の“金”について改めて注目されるところでもあります。
さいごに
そんな稀有な金瓶ですが、ふと家の整理をしていたら身近な環境で「まさかこれって純金・・・?」と思われるような品に出会うかもしれません。そんな時はどうぞ八光堂までお気軽にご相談くださいませ!