眠っていませんか? 珊瑚の小物
珊瑚の小物
小物といっても色々ありますが、例えば帯留や簪。
「珊瑚と簪はわかるけど、帯留って?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので簡単に説明しますと、締めた帯を固定する紐(帯締めといいます)に通して使用する装飾品を言います。舞妓さんを思い浮かべてください。帯の中心で紐に通して固定してある、キラキラしたあれです。舞妓さんが使っている帯留は一般的なものよりかなり大きいですが、お洒落な着物女子はひとつは持っているお洒落小物です。
現在では普段着に着物を着る人口はかなり減ってしまいましたが、戦前までは着物が主流。
「おばあちゃんが着物で立ち働いていたな~」「お母さん、お出かけの時に着物でお洒落していたな」と思い出される方も多いのではないでしょうか。
戦前の帯留や簪は象牙、翡翠、金や銀など様々な材質のものがありますが、珊瑚もよく使用されていました。金などよりは、庶民でも頑張れば手に届く価格帯で、かつ、鮮やかな美しいコーラルピンクは当時のお洒落女子の心を打ったことでしょう。
また、デザインも非常に凝っているものが多く、着物を着なくなった現在でもアンティークのデザイン性の高さには驚かされます。(以前、葡萄と栗鼠モチーフの珊瑚帯留を拝見したのですが、とっても可愛くて個人的にときめいてしまいました)
簪では、珊瑚の玉がひとつ付いた「玉簪」が想像しやすいかと思います。時代劇でもよく見かける日本髪に挿した紅い玉の簪。これはこれで粋な雰囲気ですね。
もし、古い着物をお持ちでしたら、桐箪笥にひょこっと珊瑚が隠れているかもしれません。
もう少し涼しくなった衣替えの頃、思い出に浸りながら桐箪笥の中のものを広げてみるのも一興かと思います。
さいごに