【骨董チェックポイント】箱書きの見方
茶道具 箱書きについて
皆様、夏休みはいかがお過ごしですか?
まとまった休みで旅行に行ったり、お盆の時期はご実家でゆっくりされる方も多いのではないでしょうか。
さて、この夏休み期間中などによく「実家にあったのですが…コレはなんでしょう?」というお問い合わせをいただきます。
そんな中でも特に多いのが「茶道具」についてです。
昔は花嫁修業の一環でお茶を習う方が多かったためか、家の奥に茶道具が眠っていたりします。
茶道具は通常木箱に納められているのですが、その箱に文字が書いてあることがあります。
今回は普段はあまり目を向けられることはありませんが、実はとても大事な茶道具の「箱」についてお話します。
最高の木材「桐」
まずは木箱の材質についてです。
杉や檜などの箱もありますが、やはり桐箱が良いとされています。お中元やお歳暮などの贈答用品では、今でも桐箱が重宝されていますよね。
日本は高温多湿のため「物を保存する=湿気との戦い」でした。桐箱は湿気を通さず中の湿度を一定に保ちます。また木材のアルカリ成分による防虫効果もあり、さらには日本で取れる木材の中で一番軽い!おまけに耐火性まで兼ね備えている!ので、茶道具の保存容器としては完璧です。
保存効果の高い木箱=価値の高い大事なお道具が納められている場合が多いのです。
箱書きって何が書いてあるの?
ではいよいよ箱書きについてです。
箱書きの文字は達筆すぎて読むにはなかなか難しいものもありますが、筆の運びや“この文字はこう崩されて書かれている”などのルールが分かれば、どんなことを書いているのか?はわかるようになりますよ!
くずし字が読めるようになると、さらに興味が沸いてくるかと思います。
まず「箱書き」を書く人物は、
- ①作者
- ②有識者(家元や著名な茶人など)
- ③持ち主
の3パターンです。
書かれる内容は焼き物の場合だと種類(産地)や「銘」(その道具だけに付けられた固有の名前)が多いです。
パターン① 作者が書く場合
自分の名前+銘、制作年などを記入します。
“作家本人が作品を作ったときに用意した箱”から「共箱」と呼ばれます。
パターン② 有識者(家元や著名な茶人など)が書く場合
作者名+自分の名前と銘などを記入します。
これは「〇〇の作品だと私が認めますよ」という第三者による作家の保証になります。
お茶の家元などに書いてもらう「書付」、その他有識者に書いてもらう「極書」など、著名な方が書いていればその価値がぐんと上がります。
パターン③ 所有者が書く場合
いつ/誰から/どうやって手に入れたのかなど、記録のため書かれます。
どの年代の品物なのかが書かれていることもあり、査定する際の情報にもなります。
来歴や由来などが書かれていたりすると、長年いろんな方に大切にされてきたんだなぁと感慨深くもなりますね。
さいごに
意外と奥が深い茶道具の箱について、簡単にご説明させていただきました。
「木箱」も立派な茶道具の一部です。箱の有無が査定結果にも影響しますので、ボロボロになっていても決して捨てずに、大切に保管しておいてくださいね!