【富山店:茶道具買取】中川浄益 建水
千家十職・中川浄益とは
茶道界における「千家十職」をご存知でしょうか?
「千家十職」とは、茶道の三千家である表千家・裏千家・武者小路流の茶道具を代々に渡って制作する職人たちで、10の家がそれぞれ茶道に使用されるお道具を担当して作り出してきました。
ちなみに「千家十職」 という呼び名は、大正時代に百貨店で行われた茶の湯に関する催し物で定着したとも言われています。
この「千家十職」の中に、金物を専門に扱う職人・中川浄益がいます。
中川浄益は個人名ではなく中川家が代々襲名する名前で、中川家は元々は茶道具ではなく武具を手掛ける金物師として活動していました。
茶道具を手がけた初代、中川與十郎は「紹益」という名を名乗りましたが、2代目の当主からは「浄益」を名乗るようになり、ここから中川浄益の歴史が始まりました。
金物師としての中川浄益は、建水や蓋置、皆具、火箸、鉄瓶、火入などを手掛け、特に三代目の浄益は、当時制作困難であった 「砂張」という銅、錫、鉛を使用した合金の製法を確立させ、いくつもの作品を後世へ残しています。
浄益が手がけた“建水”
中川浄益がどのような仕事を担っていたかという説明の後は、彼らが作り出してきた代表的な作品を見ていきましょう。
代々の中川浄益の数ある作品の中から、今回は建水をご紹介いたします。
建水とは茶席の際、茶碗を綺麗にするためにすすいだ水を捨てるための入れ物です。
この建水一つとっても形はさまざまで、代表的な形は「エフゴ」「箪瓢」「差替」「大脇差」「槍の鞘」「鉄盥」「棒の先」など七つ挙げられます。
中でも「エフゴ」型の建水はシンプルで使いやすい形のため茶道家にも人気があります。
中川浄益の建水でも「エフゴ」型はポピュラーなもので、一見とてもシンプルなデザインでありながら奥深い風合いの色味と細かい工夫を凝らしている作品を良く見かけます。
砂張の建水は銅と錫の合金になるため、銅でありながら明るい光沢が特徴的です。
建水は本来お客様から見え辛い場所に置くものですが、工夫が凝らされた建水を目にしたら亭主の心配りを感じますね。
さいごに