【銀座本店:茶道具買取】中村宗悦 棗
髹漆(きゅうしつ)と茶道との出会い
中村宗悦は石川県に生まれ、父より髹漆(きゅうしつ。漆塗の技法)を学び、以降鍛錬を重ねます。
その傍らで茶道を学び、のちに茶名「宗恭」を授かるほど茶道の修練を積みます。そして果てには茶道の准教授をも授与されるほど、茶道への造詣も深いようです。
宗悦は茶道を学ぶことにより、棗や炉縁、棚などの製作により力を入れて数々の作品を世に送り出し、そして数々の賞を受賞していきます。
家元の好んだ作品の写しなども積極的に制作し、多くの先生方に愛用されていますが、その理由のひとつとして技術の高さが窺えます。
髹漆とは単純に漆を塗ることを言い、主に下地塗、中塗、上塗の大きく3つに分けられます。
下地塗では、不純物を取り除いた漆汁(うるしじゅう)である生漆や、漆に木粉を混ぜた刻苧(こくそ)を元に塗りと研ぎを繰り返します。この工程は形を整え、箇所への補強を行い、次の工程へと導く重要な工程でもあります。
中塗では、上塗をより美しく仕上げるために行う工程で、錆漆(さびうるし)や精錬された中塗漆を塗り重ね、同じく研ぎと拭き上げを行います。
そして上塗は最も繊細な作業であり、総仕上げの工程となります。一切の塵や埃が付かないよう細心の注意を払って作業は行われ、使う漆も上質な漆を使用します。また、ムラが出ないようにたくさんの種類の刷毛を駆使し、仕上げていきます。
また、乾燥による変形や剥がれを防ぐためにも湿度にも細心の注意を払わねばならず、時間と湿度と温度、作業環境など徹底的に管理する必要があります。
大まかにわけた工程でもこれほど気の使う細かい作業の積み重ねなのが分かります。
工程を知った上でもう一度作品を眺めると、ものを大切にする心や新たな発見、感動が生まれてきます。
近代化で機械化が進む中、こういった技術の結晶を作品として使用、鑑賞されることは日本に生まれてよかったと本当に思います。
さいごに