【コラム】時代蒔絵についてのいろいろ
“ 時代 ”蒔絵とは
突然ですが、そもそも時代蒔絵とはどういうものでしょうか。
蒔絵とは、漆器のお品物に金や銀といった金属を用いて文様を施す技法のことです。漆器の艶やかな色合いと、金属特有の豪華な煌びやかさを兼ね備えた装飾技法の最高峰ともいえるものではないでしょうか。
漆器は日本人にとってとてもなじみ深いお品物ですので、一概に“ 時代 ”と言っても培われてきた漆器の長い歴史の中では、どの時代のことを指すのかはきっちりと決まっているわけではありません。ですので、このブログでは「江戸時代以前のお品物」として位置づけさせてもらい、お話したいと思います。
漆器に金属などを用いた装飾を施すことは、古く平安時代頃から行われていました。
当時は公家など高貴な方々のために制作され、硯箱や文箱など生活に関わる身近なお品物が多くみられます。現在に生きる人が見ても感じることができる華やかさは、当時の方にとっても高貴で壮麗な存在だったのではないでしょうか。
時代蒔絵の評価のポイントは…
時代蒔絵のお品物の評価ポイントは、やはり使われている技法の種類の多さになってくるでしょうか。
蒔絵には平蒔絵や高蒔絵、梨地など多くの技法があります。一つひとつの技法についてのご説明はまた別の機会にお話させていただきますが、それらの技法の多くを駆使して制作されたお品物であればあるほど、蒔絵としての面白い表現ができることにつながります。また、製作技法の一つをとっても、作品として仕上げるためには相当の時間と技術が必要です。
高温多湿のこの日本で状態が良く残っている時代蒔絵は大変貴重なお品物でもあります。
そのため、どうしても評価が低くなりがちな二時流通の世界でも、蒔絵のお品物、特に時代蒔絵のお品物は高い評価をお付けすることができるのです。
さいごに