【出張買取:絵画買取】藤井勉 油彩
藤井勉と写実画
藤井勉が描く作品は、写実画にあたります。
写実とは「現実的な主題をありのままに描くこと。あるいは対象を細部まで正確に描く手法」です。
写実画は一見写真のように見えますが、写真に写るのは1つの視点(単眼)から見た世界です。しかし、人間の目は2つある(複眼)ので、遠近を認識することができます。写真に写る世界と人間が見ている世界は似ているようで違うのです。写実画は人間の目で見える世界を描いているのです。
日本国内では2010年代ごろから写実画が流行してきており、現在もリアルな描写の絵画などが注目されています。
故郷・東北への思い
藤井勉は、1948年に秋田県仙北郡仙南村(現・美郷町)で生まれました。大学は隣県の岩手大学特設美術科に進学します。大学卒業後は岩手県盛岡市を拠点とし、より一層創作活動に専念しました。
28歳の時には、第20回シェル美術賞展で佳作賞を受賞します。翌年1977年には、第12回昭和回展で優秀賞を受賞しました。さらに翌年1978年には、東京セントラル絵画館にて個展を開きます。その後も受賞と個展を繰り返し、評価をめきめきと上げていきました。
交友関係では、小泉智英、上村淳之、森田りえ子、小松崎邦雄らと親交があり、それぞれと二人展を開催しています。
1998年には、50歳にして初めて郷土の仙南村で個展を開きます。ここにも藤井勉の郷土愛を見ることができますね。
その後、岩手県の小岩井農場近くに自身で植林し開墾した山に移り住み、池を掘り、岩手の豊かな自然と動物に囲まれた生活を送りながら暮らします。
しかし、2017年9月12日、惜しくも心不全のため盛岡市内の病院で亡くなりました。
モチーフへのこだわり
藤井勉の作品と言えば、真っ先に挙げられるのが少女のモチーフでしょう。繊細なタッチで描かれた表情、陰影、髪の毛の艶やちょっとした服の皺までもリアルに描写されたその画力。見事の一言です。
それでは、藤井勉が何故少女をモチーフに多用するかご存知でしょうか?
藤井勉には三人の愛娘がおり、その愛娘をモデルに自身の作品として描いていたのです。なお、三女の由希子氏は、現在陶芸作家としてご活躍されています。
自身の愛する我が子をモデルに、成長を見守りながら愛情溢れる作品を描き続けたからこそ、藤井勉の作品は今でもなお人々に評価され続けているのでしょう。
また、藤井勉は少女以外にも植物や風景、動物のモチーフも描いています。特に猫のモチーフでは、毛並みや目の輝きなど人間同様に繊細なタッチで写実的に描かれており、こちらも人気の作品となっています。