買取市場でも人気!ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホル作品の魅力とは?
アンディ・ウォーホルは「マリリン・モンロー」「キャンベルスープ」などの作品で有名なアメリカの画家。ポップアートムーブメントの旗手として知られ、初期はレコードジャケットや広告など商業デザイン作品が多く、1960年代からシルクスクリーン(版画)作品で一躍有名になりました。
表現手法は絵画にとどまらず、写真・映画・音楽など幅広いジャンルで活躍。ジャン=ミシェル・バスキアやキース・ヘリングなど後進の作家たちとコラボレーションをし、バンド「ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」をプロデュースしたことでも有名です。死後も高値で作品が取引されるなど、今でも人気の根強いアーティストです。
この記事では、そんなアンディ・ウォーホルのプロフィールをはじめ、作品の特長や魅力などについてご紹介します。
ポップアートの代表的画家・アンディ・ウォーホルの生い立ち
▲アンディ・ウォーホルが生まれ育ったピッツバーグの街並み
ひきこもりから商業デザインで活躍するまでのウォーホル
アンディ・ウォーホルは1928年8月6日、アメリカ・フィラデルフィア州ピッツバーグに生まれました。幼い頃からウォーホルは絵を描くのが大好きでしたが、小学校3年生の頃に「小舞踏病(シデナム舞踏病)」にかかり、学校を休み家に引きこもりがちになります。家ではずっとラジオを聴き映画スターの写真に囲まれて過ごしました。後年のウォーホルによれば、この引きこもり時期が自身のアートスタイルに影響したとのことです。
ウォーホルは高校卒業後、1945年にカーネギー工科大学(現・カーネギーメロン大学)に入学。商業デザインについて学び、在学中からデザイン活動を開始。1949年の大学卒業後はニューヨークに移り、1950年代には雑誌やレコード会社で商業デザイン、イラスト活動の幅を広げます。
この頃すでに、後にウォーホルの代名詞ともいえるシルクスクリーンの手法で作品をつくり始めています。
ポップアートの担い手として有名になったウォーホル
1950年代、ロサンゼルスで開いた初の個展では「キャンベルスープ缶」を並べた作品を発表。以降「マリリン・モンロー」「コカ・コーラ瓶」などアメリカの消費生活やポップアイコンをテーマにした作品で有名になります。
スタジオ「ファクトリー」を創設し、若手のアーティストやスターと映画、音楽、彫刻など多様なコラボレーションを展開。絵画以外にも表現の幅を広げたウォーホルでしたが、ファクトリーの常連でもあった人物に銃撃される事件が起きます。幸いウォーホルの命は無事だったものの「ファクトリー」の活動は制限されていきました。
セレブの肖像画制作、晩年は若手と交流
1970年代に入ると、ウォーホルはイラン国王、ミック・ジャガー、ジョン・レノンなどセレブリティからの注文肖像画を多く制作しました。また雑誌『インタビュー・マガジン』誌を創刊し、ビジネスでの活躍が増えていきます。1980年代にはアミガ社のコンピュータによるコンピュータアートも開始。キース・ヘリング(※)やジャン=ミシェル・バスキア(※)など後進のアーティストとも交流しました。
胆嚢の手術を繰り返した晩年のウォーホルは、術後の不整脈で1987年2月22日に亡くなりました。死後はアンディ・ウォーホル視覚芸術財団が創設され、故郷ピッツバーグに「アンディ・ウォーホル・ミュージアムがつくられました。
ストリートアートの先駆者と評される画家。1980年代のアメリカの代表的な芸術家。(※)ジャン=ミシェル・バスキア
落書きに見えるような独自のタッチと色彩感覚で、貧富の差や黒人差別に対する怒りを表現した作品で知られるニューヨークの作家。27歳という若さで亡くなる。
アンディ・ウォーホルの作品の特長。シルクスクリーンで大量消費社会を表現
独自のスタイルでポップアートを開拓
アンディ・ウォーホルはポップアートの作家として知られます。ウォーホルの作品には、「シルクスクリーン(版画)による作品」「ビビッドな色合いで1モチーフを複数パターン表現する反復手法」「有名人・大量消費品など、それまでなかった記号的モチーフ」といった特長があります。
大量消費社会に対する皮肉?ウォーホル作品に見えるメッセージ
ポップアートは現代アートの潮流の1つで、大量生産・消費社会をテーマにした作品が多いもの。ウォーホルは「キャンベルスープ缶」「コカ・コーラ瓶」など、アメリカ人が当たり前に接してきたけれど、絵画のモチーフにはなり得なかったものをあえて採用したところが先進的でした。
「マリリン・モンロー」などの有名人もテレビや映画での「生産・消費」の対象の1つ。大量消費社会を、大量に複製できるシルクスクリーンでビビッドに表現したことがウォーホルの特長といえるでしょう。
アンディ・ウォーホル作品の評価は?今でも高値がつく人気アーティスト
ウォーホルの複製可能なシルクスクリーンで大量消費の象徴を描く手法は、時間をかけた「一回性」の強いそれまでの油絵などの絵画へのアンチテーゼとして評価されました。これまであり得なかったモチーフと版画での複製手法には批判もありましたが、多くの有名人が自分の肖像をウォーホルに描かれることを熱望するなどポップアートは時代の潮流に乗っていきました。
ウォーホルの死後もその作品は高く評価されています。2014年、クリスティーズオークションでは「3人のエルビス」「「フォー・マーロンズ」(4人のマーロン・ブランド)には総額数億万ドルの値がつきました。
2016年にラフ・シモンズが「カルバン・クライン」で「デニス・ホッパー」などのウォーホル作品をファッションに取り入れるなど、近年は晩年の活動の再評価も進んでいます。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により2021年以降に延期したものの、2020年には大回顧展「ANDY WARHOL KYOTO / アンディ・ウォーホル・キョウト」展が予定されるなど、日本でも人気が根強くあります。
現代アート買取 アンディ・ウォーホル
アンディ・ウォーホルの作品紹介
「マリリン・モンロー」
シルクスクリーン 91.5×91cm
女優マリリン・モンローの死後、1962年以降にウォーホルは制作を開始し、生涯で多くの枚数・色で剃られてきたシルクスクリーン作品です。モンロー出演の映画「ナイアガラ」のスチール写真を元にしています。発表時期がモンローの死後だったため、この作品には「売名行為」「不謹慎」との声もありましたが、ウォーホルはモンローファンで、追悼の意図があった説もあります。
シルクスクリーンでの複製絵画という表現にも批判があったが、既存のアートへの風刺という評価も高く、ウォーホルを有名にした代表作の1つです。
「ミック・ジャガー」
シルクスクリーン 111.3×73.5cm
バンド「ローリング・ストーンズ」のボーカル、ミック・ジャガーの肖像で、1970~80年代に依頼を受け制作したウォーホルの肖像画作品の1つ。シルクスクリーンの手法が用いられていますが、紙のコラージュや線の書き足しがされているのが特徴的です。
「キャンベルスープ」
▲こちらはキャンベルスープ缶がプリントされたショッピングバッグの作品
商業デザインに関わったウォーホルは、広告業界では常套手段だった、視覚的な「反復行為」を絵画に取り入れました。1962年から発表された作品「キャンベルスープ」はその手法が取り入れられた、ウォーホル初期の代表作。当時のキャンベル・スープ・カンパニーの32種類のスープ缶がモチーフになっています。キャンベルスープはウォーホルが数十年間愛好していた身近な商品で、大量消費社会の象徴でした。
「マリリン・モンロー」「ミック・ジャガー」「キャンベルスープ缶」など、多くの代表作を残したアンディ・ウォーホル。この他、「猫」「花」をモチーフにした作品や、60年代に活躍したバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ」のアルバムジャケットでも知られる「バナナ」のアートなど、その作品の数々は今もなお多くの人に愛され続けています。
まとめ
アンディ・ウォーホルは「マリリン・モンロー」「キャンベルスープ缶」などのモチーフ、シルクスクリーンの手法で大量社会を絵画で描いた前衛アーティストでした。ポップアートの代表的な存在となり、回顧展やファッションとのコラボがあるなど今でも人気の作家です。
アンディ・ウォーホルの作品は買取市場でも人気が高く、作品によっては高額で取引されています。キズや汚れがあっても、査定額が高くなる作品も数多くあります。アンディ・ウォーホルの作品の買取を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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