陶器を長持ちさせる手入れ方法。欠け・サビはどうすればいい?
陶器は食卓に欠かせない器として古くから使われてきました。温かみが感じられる風合いから、食卓を豊かにさせる陶器。ただ洗うときや保管するときなど、扱いが大変そうで購入をためらいがちな方もいらっしゃるかもしれません。確かに長く使うためには日々のお手入れが必要ですが、やり方はとても簡単です。
この記事では、陶器の魅力と自宅で簡単にできるお手入れ方法、欠けやサビがついたときの対処方法をご紹介します。
陶器とは?その他の焼物は?
陶器は古くから伝わる日本の代表的な焼物のひとつです。陶器を含め、焼物にはどのようなものがあるのでしょうか。
陶器の特徴
陶器は、陶土(粘土)を原料とした「土もの」と呼ばれる器です。水を吸収する性質を持ち、柔らかいため強度が低めになっています。光を通さず、叩くと鈍い音がするのが特徴です。土の種類や釉薬(うわぐすり)のかかり方によって同じ窯で作られていても1つ1つ違いがあり、味わい深い表情を感じることができます。
その他の焼物
その他の焼物としては以下があります。
磁器
磁器は、陶石という白くて硬い岩石を細かく砕いたものを原料とする器です。「石もの」とも呼ばれています。表面がツルツルとしていて、ガラスのような印象を与えるものもあります。叩くと固く金属のような音がして、光を通すのが特徴です。陶器よりも強度が高くなっています。
半磁器
半磁器とは陶器の風合いと磁器の強度を併せ持つ器です。オーブンや電子レンジで使えるものも多くなっています。
土鍋
土鍋は陶器の中のひとつ。原料に耐火性がある土を使っているため、直火で使うことができ、保温性にも優れています。
炻器(せっき)
炻器とは、鉄分の多い粘土を原料としています。岩塩で釉薬を施すものも。陶器と磁器の中間のような性質を持ち、丈夫で耐水性があるのが特徴です。叩くと磁器のように金属のような音がしますが、陶器のように光を通しません。
長持ちさせるための目止めとは?陶器購入後にしたいこと
気に入って買った陶器はできるだけ長く使いたいもの。陶器を長持ちさせるために、使う前に「目止め」をするのがおすすめです。
目止めとは
目止めとは、米のとぎ汁に含まれるデンプンを利用し、陶器の表面にある目に見えない凹凸をコーティングすること。使っていくうちに起きる水分が染み込み変色やにおい移りを防ぐ効があり、シミやひび割れの予防にもなります。
目止めのやり方は簡単です。大きめの鍋に、陶器が完全に隠れるくらいまで米のとぎ汁を入れ、弱火で15~20分ほど煮沸します。煮沸が終わったら汁もそのままにして自然に冷めるまで放置します。冷めたら丁寧に水洗いして表面のぬめりを落とします。その後、よく乾かして終了です。米のとぎ汁は小麦粉や片栗粉で代用することもできます。代用する場合は水1リットルに対し、約大さじ1~2杯程度を溶かして使用しましょう。
購入後にやっておきたいその他の手入れ
陶器を購入したら、目止めをするほか、器の底の部分である「高台」を確認しましょう。高台がざらついていると重ねた時に他の皿を傷つける原因となってしまいます。目の細かいサンドペーパーでこすったり、他の陶器の高台とすり合わせたりすることで、ざらつきを軽減することができます。
陶器の手入れ
陶器のお手入れは難しそうというイメージがあるかもしれませんが、基本を押さえれば簡単です。日常的なお手入れ方法をご紹介します。
陶器の洗い方
陶器は柔らかいスポンジと中性洗剤を使って洗い、しっかりすすぎます。陶器は吸水性が高いため、汚れたまま時間を置きすぎると匂いが器にしみこんでしまいます。また、つけ置きもしないようにしましょう。
陶器を保管する際の注意点
陶器を洗ったあとは水分をしっかり拭き取り乾燥させることがポイント。十分に乾燥していないとにおいやカビが発生してしまうことも。なるべく風通しが良いところで保管しましょう。重ねて収納するときは、キッチンペーパーや和紙などを挟むと水分を吸収し、傷を防いでくれます。
使用する際の注意点
陶器を普段使いする際に少し気を付けることで、陶器を長持ちさせることができます。料理を盛りつけする際に行って欲しいのが、温かい料理にはぬるま湯を、冷たい料理には冷たい水をくぐらせること。時間がないときは濡れた布巾でさっと拭くだけでも構いません。陶器の表面に水分を与えることで、食べ物やにおいが染み込みにくくなります。料理も温度感を損なわずに美味しく食べることができます。
また、陶器は温度変化に弱いもの。電子レンジやオーブンなどを使用すると傷むのが早まってしまいます。中には使用可能な陶器もありますが、熱くなった陶器を冷たいものでつかむなど、急激な温度変化を与えることはやめましょう。
カビや茶渋がついたときの対処方法
陶器を大切に使用していても、どうしても汚れやにおいがついてしまいます。丁寧に洗っても落ちにくい茶渋やカビが発生してしまうことも。そんなときは以下の方法で早めに対処してあげましょう。
レモン汁で取り除く
水垢やにおいなどの汚れにはレモン汁が効果的。レモン汁を入れた鍋で陶器をゆっくりと煮沸させます。2,3度繰り返すと、クエン酸によりにおいがすっきりと落ちます。
漂白剤で取り除く
ガンコなシミがついてしまった場合には、漂白剤を使用します。ただし陶器は吸水性が高いため、漂白剤が沁み込んでしまわないように数十分程度で取り出し、丁寧にすすぎましょう。
漂白剤は強い洗浄力がありますが、うつわ本来の色を落としてしまう恐れもあるので気を付けて使いましょう。
重曹で取り除く
においが強く落ちにくい場合は重曹を使用します。水1リットルに対し大さじ約4杯の重曹を溶かし、陶器を半日以上浸けておきます。浸け置き後は丁寧に洗い流し、乾燥させます。においが落ちない場合はさらに2,3回行うと良いでしょう。
塩で取り除く
茶渋汚れは塩で落とすこともできます。塩を汚れにふりかけ、湿らせた柔らかいスポンジで馴染ませるように表面を洗います。
欠けたりカビがついたりした陶器はどうする?買取業者に依頼
お気に入りの陶器が欠けたり、カビが生えてしまった場合はどのように対処すれば良いでしょうか。
購入したメーカー・店舗に修理を依頼
まずは購入したメーカーや店舗に修理ができないか相談しましょう。購入したお店でなくても修理を引き受けてくれる業者もありますので、インターネット等で検索してみましょう。修理内容に応じて費用はかかりますが、専門の職人が修理をしてくれるので安心です。
パテを使って修理する
小さな欠けであればご自身の手でパテと呼ばれる接着剤を使って修理をすることもできます。粘土状のパテを使って、欠けているところを埋め、乾燥させます。乾燥後、パテがはみ出たところをサンドペーパーやデザインカッターで削ります。表面を整えるため、新うるしを塗る、色付けを行うなどの処置を施しましょう。
ただし食品衛生法では、補修したものに食べ物を載せて使うことは完全に安全とは言えません。あくまで小さな欠けや食器以外の陶器に使いましょう。
骨董品の買取店に依頼する。作家による作品は高額になることも
陶器を手放すことを検討している場合、骨董品の買取店に依頼をするのがおすすめです。キズやワレカケがあっても、作家によっては高額になる可能性もあります。
例えば、人間国宝である松井康成の作品は数百万円の値がつくものも。有名作家であれば十数万円~数十万円で取引されています。作家名がわからない作品であっても、質のよいものであれば数万円で取引されている陶器もあります。
買取店を選ぶ際のポイント
買取店を選ぶ際のポイントは以下です。
専門スタッフがいるかどうか
陶器は熟練した専門スタッフがいない買取店だと安い価格で買い取られてしまう場合があります。常に最新の正しい価値を判断できる専門スタッフがいるお店に相談するのがおすすめです。
作家が不明のもの、箱が無い、箱と中身が一致しない、ワレやカケがある……。そんな陶器でも、豊富な知識な専門スタッフが1つ1つ丁寧に査定してくれます。
陶器の買取実績のある業者かどうか
陶器の買取実績が多い業者の場合は、高く売却できるルートを持っているため、高く売却できる可能性が高まります。欲しい人に橋渡しをしてくれる業者にお願いしましょう。
出張買取や出張鑑定会などを実施しているかどうか
出張買取や出張鑑定会などを実施している業者であれば、わざわざお店まで出向く必要がないため気軽に依頼することができます。相談・見積もり・査定・出張費・買取手数料がすべて無料の業者もあります。クーリングオフが適応される業者、現金買取が可能な業者など、ご希望に合った業者にお願いしましょう。
陶器高額買取
▶茶道具を修理したい、またはキズを付けたくないのでどこかで保管したいという方は美術品修復・保管サービスもご利用いただけます。
美術品修復・保管サービス
まとめ
食卓を素敵に彩ってくれる陶器は、ちょっとした心配りで長く使用することができます。使ううちに見た目が少しずつ変化していくのも陶器を使う楽しみのひとつ。なるべくきれいな状態をキープできるように意識して使いましょう。
不要な陶器をお持ちの方は、骨董品の買取業者に相談しましょう。古美術八光堂では、陶器の買取を行っています。専門の鑑定士がいますので、価値を正しく判断し、適正な査定額をつけることができます。ご自宅に不要な陶器がある方は、ぜひご相談ください。
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