絵画の贋物はなぜあるの?人気画家の作品と鑑定してもらう方法
「絵画を鑑定してもらったら贋物だった」そんなエピソードを一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。古くから絵画には贋物が作られています。不要な絵画を処分するために査定してもらう場合は、本物か贋物かで買取査定額に大きな差が出てしまいます。贋物の場合には買取をしてもらえないこともあるので、ご自身が持っている絵は贋物でないかまずは調べることが重要です。鑑定士に依頼してみるのが確実ですが、一般の方でも本物かどうかを見分けるポイントがあります。
この記事では、お持ちの絵画が本物かどうか確認するポイントや、贋物が出回りやすい人気画家、絵画を正しく査定してくれる買取店を選ぶ方法をご紹介します。
絵画の贋物(贋作-がんさく)はなぜ作られるのか?
絵画の市場には贋作が多く出回っています。絵画の贋物が作られる経緯は、ブランドなどの贋物とは違う場合があります。贋物の絵画が作られてしまう理由はどのようなものなのでしょうか。
贋物を生み出す「模写」
絵画には「模写」という練習方法があります。他の作品をそっくりそのまま正確に写し取ることで、画家の意図を理解して技術力を吸収するための練習過程の一つです。
「模写」の意図は悪意ではない?
模写は本物に忠実に再現し、作品は結果的に贋物となってしまいますが、決して悪意があって生み出さしたものではありません。根本的には若手作家や美術学生の「絵が上手くなりたい」という気持ちで描かれています。また、絵画の保存を目的とした模写も行われています。原画が失われたとしても、模写した作品が存在することで絵画の内容が後世に伝わるためです。ブランド物のように不当な利益を得るために作られた贋物の絵画は、「模写」ではなく「転写」といいます。
「模写」には金額は付かない
どんなに精巧に模写されていたとしても、模写した作品に価格はつきません。悪意で作られたものではありませんが、本物の価値を維持するという意味でも買取市場では評価がつけられないのです。贋物に価格をつけてしまうとコレクターは作品が贋物かもしれないと不安になり、コレクションを行うことができないからです。
贋物の流通を防ぐ「所定鑑定機関」とは?
絵画の価値を維持し、マーケットとの健全な取引をするために作られたのが「所定鑑定機関」です。所定鑑定機関とは、各作家専門の鑑定人のこと。多くの場合、作家の子孫や配偶者などその作家について豊富な知識を持った人で構成されています。所定鑑定機関で厳正な鑑定を行い、本物と認められれば「鑑定書」を発行します。所定鑑定機関で取得した鑑定書があればすべての場所で本物として流通することが可能です。
絵画の贋物を見分ける方法は?
絵画が本物かどうか見分けるためには、絵に関する知識が十分に必要なため一般の方が正確に見極めるのは困難です。しかし基礎を抑えれば、簡単なものであれば見分けることができるかもしれません。ポイントを順に確認していきましょう。
作品が作られた年代を確認する
まずはその絵画がいつ制作されたのか、年代を確認しましょう。年代は附属の箱などに明記されていることがあります。詳細な年代が分からない場合は、その作品が描かれた時代背景や主流となっていた作画方法を調べ、その作風が時代に合うか合わないかで贋物かどうか判断をします。
作家のタッチを確認する
絵画のタッチ(筆使い)と道具が、その作家のタッチや道具と合致しているかどうか確認しましょう。近くで見れば絵具の凹凸など微妙なタッチを感じることができます。使用しているキャンバスや絵具の違いによっても判断することができます。
作者のサインがあるかどうか確認する
名のある画家の作品である場合、画家のサインが施されていることが多いです。絵画そのものにサインがあることもあれば、付属の共箱や共シールに刻印されていることもあります。
落款があるかどうかを確認する
サインと同様に落款(らっかん)が押されていることもあります。落款とは、書画が完成したときに施す署名捺印のこと。画号や制作年月日を記し、印を押します。通常は画面の余白部分に入れますが、目立つ場合は画面の中の樹木や岩石などの目立たないところに入れているものも。これを「隠し落款」と呼びます。
本物であれば高額買取に!絵画の人気画家
現在の日本において人気の画家をご紹介します。人気のため贋物も多く出回っていますが、本物であれば高価買取が見込める作家です。古美術八光堂の買取実績から買取相場もあわせてご紹介します。
千住博(せんじゅひろし)
千住博は、現在でも活躍している日本画家です。1990年代からNYを拠点に国際的な活躍を続けています。キャンバスに描くだけではなく、空港や駅に展示するパブリックアートの制作も積極的に行っています。代表作は滝を題材にした作品「ウォーターフォール」。自然の中に美を見出し、代名詞ともいわれる滝を描いた作品からは、水しぶきや涼し気な空気まで伝わってくるよう。力強さを感じさせるモダンでスタイリッシュな作品を作り続けています。古美術八光堂では、千住博が手掛けた作品「香風法起寺」を175万円で取引した実績があります。
関連記事:「THE FALL」で知られる国際的画家・千住博。そのモダンで新しい日本画の世界
平山郁夫(ひらやまいくお)
日本画家・平山郁夫は、「シルクロード」をテーマにした連作で広く知られています。広島県出身で15歳の頃に被ばくした経験が、のちの作品のテーマや文化保護活動・国際交流などに繋がりました。宝飾品にも使われる貴重な鉱石を原材料とした岩絵具をふんだんに使用した作品が特徴で、世界的にも高く評価されています。古美術八光堂では、平山郁夫が手掛けた作品「公河故城トルファン」を110万円で取引した実績があります。
関連記事:「シルクロード」の作品で有名な平山郁夫。代表作やその一生を解説
藤田嗣治(ふじたつぐはる)
洋画家・藤田嗣治は、東京に生まれパリを中心に活躍しました。フランスに帰化し、レオナール・フジタとも呼ばれています。女性や猫をモチーフにした作品を多く手掛け、日本画の技法を油彩画に取り入れた独自の画法で人気を得ました。特に裸婦画は「乳白色の肌」と呼ばれ絶賛を浴び、一躍パリ画壇の寵児となりました。油彩・素描・版画など、いずれも人気の藤田作品。古美術八光堂では、藤田嗣治が手掛けた作品「少女」を2000万円で取引した実績があります。
関連記事:パリ画壇を席巻した日本人画家・藤田嗣治(レオナール・フジタ)の作品とは?日本画と西洋画が融合した技法の魅力
熊谷守一(くまがいもりかず)
熊谷守一は、明治から昭和にかけて活躍した洋画家です。洋画だけではなく、日本画や水墨画も多く制作しました。97歳まで生き、長い画家人生の中で多くの作品を手掛けましたが、中でも動物・昆虫・植物などの身の回りの生き物たち寄り添うような優しいタッチで描いたものが有名です。極端なまでに単純化された形で構成された独自のスタイルは「熊谷様式」と呼ばれました。
古美術八光堂では、熊谷守一が手掛けた作品「蒲公英に蟻」を50万円で取引した実績があります。
関連記事:ポップで明るい抽象的絵画だけじゃない、知られざる熊谷守一の世界
クロード・モネ
クロード・モネは、印象派を代表するフランスの画家であり、風景画を多く制作しました。モネが手掛けた作品「印象・日の出」は印象派の名前の由来となりました。見たままの風景を描くのではなく、時間や季節によって移ろう光や風、香りなどを「印象」として素早くキャンバスに描き出しているのが特徴です。生涯光の移り変わりを追い求めたモネ。代表作である「睡蓮」の連作は、同じ風景を時間や視点を変えて何度も描いています。睡蓮をモチーフにした作品は約250点にも及ぶといわれています。
関連記事:印象派の代表画家クロード・モネの作品・評価。代表作「睡蓮」で知られるモネの生涯
アルフォンス・ミュシャ
アルフォンス・ミュシャは19世紀に流行したアール・ヌーヴォーを代表する画家です。舞台「ジスモンダ」のポスターを手掛け一躍人気となりました。草花などをあしらい曲線を多用した優美な装飾と女性のモチーフを組み合わせた作品が特徴です。平面的で大胆な構図はデザイン力に優れており、作品はさまざまな企業の商品ポスターに使われました。民衆のための芸術を願い作品を作り続けたミュシャの作品は時代が変わっても色あせず、現在でも大人気の画家の一人です。
関連記事:アルフォンス・ミュシャとは?しなやかな女性と美しいデザインで魅せるアール・ヌーヴォーの代表画家
アンディ・ウォーホル
アンディ・ウォーホルは、ポップアートを切り拓いたアメリカの現代アート画家です。表現方法は絵画にとどまらず、写真・映画・音楽など幅広いジャンルに及び、多くのアーティストやセレブとの交流やコラボレーションを行いました。ビビッドな色合いで記号的モチーフを反復して表現する手法を使ったシルクスクリーンによる作品が特徴です。「マリリン・モンロー」や「キャンベルスープ缶」などを描いた作品を見たことがある人も多いはず。
関連記事:買取市場でも人気!ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホル作品の魅力とは?
正しい査定を受けるために。絵画の買取店を選ぶ際のポイントは?
絵画の売却をするときは、正しく査定をしてくれる買取店に安心して任せたいもの。買取店を選ぶポイントをご紹介します。
絵画の買取実績が豊富である
絵画の買取実績が豊富な業者であれば絵画に対する審美眼が養われているので安心してお願いすることが出来ます。高く売却できるルートも持っているため、通常よりも査定額が上がる可能性もあります。
絵画専門の鑑定士が所属している
絵画が本物かどうか見分けるのは難しいものです。あまり知られていないと感じる画家であっても、買取相場では人気の場合があり、鑑定士に知識がなければ相場よりも低価格で査定されてしまうことも。知識と経験が豊富な専門の鑑定士が在籍しているかどうか確認しましょう。
サイトに口コミがある
サイトに口コミがある場合は目を通しておきましょう。利用者からの生の声が聴けるため、より安心してお願いすることができます。
出張査定も可能な買取店
大きな絵画の場合は買取店まで運ぶのにも労力がかかります。中には出張査定も可能な買取店もあるので相談してみましょう。
依頼~買取までの説明がサイトにわかりやすく記載されている
初めての依頼の場合はどのように依頼したらいいか不安に感じてしまうと思います。サイトに依頼から買取までの流れが分かりやすく記載されている業者であれば、安心して利用することができます。
アフターフォローがしっかりしている
絵画を売却したあとに後悔してしまうことがあるかもしれません。クーリングオフ制度を利用できるなど、アフターフォローが出来る業者だと最初から分かれば安心してお願いすることができます。何か疑問があれば気軽に相談をしてみましょう。
担当者の対応が丁寧
担当者の対応が丁寧な会社は、感じよく疑問点も気軽に確認しやすいためおすすめです。依頼する際はきめ細かいサービスが行き届いているか、品物を丁寧に扱ってくれるかどうかも確認しましょう。
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まとめ
残念ながら絵画は世の中に多くの贋物が出回っています。しかし贋物が多く作られている作家は、それだけ人気があり価値のある作家ともいえます。お手持ちの絵画が本物かどうか分からない方は、この記事を参考にして確認してみましょう。
本物かどうか分からない、価値が分からない絵画をお持ちの方や絵画の処分を考えている方は、古美術八光堂で一度査定してみてはいかがでしょうか。専門知識と経験豊富なスタッフが丁寧に鑑定いたします。汚れや傷があっても高値で取引されているものもあります。ぜひお気軽にご相談ください。
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